第15話 京成学院対リーブス姫。
リーブスがする話をモブヘイが「わかりますか?」「進めて良いですか?」と大久保 勝之進に聞き、大久保 勝之進は「それはどうなるのか?」と不明点を突き詰めていく。
正直な話、リーブスは聞かれたくない部分もあり「知らぬ存ぜぬ」でやり過ごしたくても大久保 勝之進はそれを許さない。
一通り聞いた所で大久保 勝之進は「とりあえずはわかった。まず数点聞かせてほしい。モブヘイ氏は常時通訳の必要はないがここに居てほしい」と言うとリーブスを見て「では姫、今の説明でわかったが城の眼下に存在するユータレスと言う所に貴公が選んだ勇者と呼称される者が乗り込む必要があるのだな?」と聞く。
リーブス姫は威厳を損なわないように「ええ、その通りです」と答える。
「ふむ。では次の質問だ。それを拒否するとどうなる?」
「世界が滅びます」
「それだ。この世界は滅んだ事があるのか?」
「え?いえ…それは…」
「それは?」
「予言書にそうありました」
「では実際に勇者をユータレスに送り込まないでどうなったかの実証は無いとなるな。では滅んでから、滅びの危機に瀕してから助けを乞うのが人道であろう」
大久保 勝之進は呆れた顔で嫌悪感を露わにしながらリーブス姫を見て言うとリーブス姫は「そんな!?そんな事になればコルポファの民達は何人が犠牲になるかわかりません!それどころか全滅の危険すらあります!」と声を荒げえる。
「では質問を変えよう。ユータレスには何がある?勇者はどうすれば良い?」
「勇者はこれより儀式を経て勇者の装備を…」
「装備とは?」
「白磁の鎧と剣です」
「…そんな心許ない装備なのか?剣は?儀式用なのか実戦があるのか?」
「ユータレスにはスタークと呼ばれる異形が居ると言われております。それらは人を襲います」
「ならば君達は戦えない自分達の代わりに勇者と選んだ人間をユータレスに送り込み、そこで襲いかかってくるモノと戦えと言う。それはコルポファの犠牲と言った姫の発言ですか?完全にダブルスタンダード、二重基準ではないか!あなたは自国民の為に我らに死ねと言うのか?」
「わ…私は姫としてこの国の民達の為…」
「ならば私は3年1組の担任として彼らの為に拒否をする!今すぐに表世界に帰したまえ!」
大久保 勝之進の剣幕と論理的な発言にリーブスは何も言えないで居ると、臼井 和秀が「先生、とりあえず座り込みを行なって僕たちの世界に帰してもらいましょう」と提案をして全員で座り込みを行う。
モブヘイとは別の兵士達が取り押さえにくると臼井 秀和はカッターナイフて自らの手に刃を押しつけて「貴方達が僕に触れれば僕はあなた達のせいで傷を負います。不血の誓いは破られます!更にこの血を他の方にも付けましょう!」と言った。
これに兵士は手も足も出なくなる。
京成学院の生徒たちはそこから3日の交渉を行う。
風呂は我慢したが、トイレと食事は最低限の保障という事で要求を飲ませていた。
大久保 勝之進の要求は表世界に送り返す事。そして交渉の場にはモブヘイを立ち合わせる事だった。
交渉の場にはモブヘイの他に姫とストルトが現れる。
大久保 勝之進はストルトと少し話したが頭の回転が悪いのに高圧的な態度に嫌悪感を露わにして交渉は更に難航した。
交渉はお互いに譲らず平行線のままだったが3日目に折れた形のリーブス姫から「わかりました。表世界にお返しします。ですが皆様を呼んだ直後で転移エネルギーが枯渇していて送り返せる人数は10人までです」と言われた。
京成学院は大久保を含めて24人だったが「それは力が溜まり次第残りを送ると捉えて良いのか?」と聞き、リーブス姫は勿論だと返す。
そこでストルトが余計なことを口走ってしまった。
「過去の召喚者達は表世界では1日しか経過しておらず、こちらでは1年が過ぎていると申している。こちらで待つものは数週間だとしてもそちらでは数時間の話になる」
この言葉に大久保 勝之進は「まさか君達は過去にも同じ事を!?…まさか、立て続けに神隠しに合っている南北高校、東武学園、荒川さくら高校、東の京高校か…」と気付いてしまう。
4校の安否を何度聞いても彼等の勇者達がユータレスを目指してくれている間はキチンと責任を持って保護をしているの一点張りをするリーブス姫。
そんなリーブス姫は転移の準備があるから2日欲しいと言われ、大久保 勝之進も準備は致し方ないがこちらに多数の生徒を残す以上、代わりの人間、ストレートに言えば人質を要求した。
大久保 勝之進は帰還者の人選に頭を悩ませたが、事態を正確に伝える為にはやはり自分が帰還する必要を考え、生徒達は京成学院らしく成績上位者から帰還者を選んだ。
帰還者を選んだ後はトラブルを忌避する理由から帰還者と非帰還者で接触を禁止され、隔離された。
これにはある程度の理解を示した大久保 勝之進の前に人質として寄越されたのは初代の隊長を勤めたショートで挨拶程度しか許されなかった。
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