XXVI

 いつも通り、洗面所に向かう俺は、洗面台で顔を洗っている皐月さんと、鉢合わせした。


「皐月さん、おはようございます」


「あ、おはよう、陣平君」


 と、挨拶を返してくれる皐月さんは、平然としていた。


 どうやら、俺の思い過ごしだったのかもしれない。こんなきれいで、かっこいい人が俺の寝こみを襲うとは思えない。


 どうやら、俺の頭は、激しい妄想癖でやられているようだ。


 俺はそのまま、トイレに入る。


 はぁああああああああ!


 何を考えているんだ、俺は! そんなわけないだろ! 皐月さんがそんなエロい事、してくるはずがない! これじゃあ、葵の事もそんな風に見ちまうじゃないか! くそー‼


 俺はトイレに十数分籠った。


 それからして、トイレから出てくると、手を洗い、リビングに向かう。


 リビングでは、朝食がもうできており、二人は先に食べ始めている。


「あ、おはよう。お兄ちゃん」


「ああ、おはよう……」


 俺は、いつも通り席に座り、いつも通り、朝食をとる。


 食べている間、無言ではあったが、俺は、皐月さんと目が合うと、すぐに視線を逸らしてしまう。


 このままだと、気まずいが、仕方がない。まだ、確信が持てないからだ。


 早く食べて、学校行こう。今なら、雨もそこまで降ってないから大丈夫だろう。


 窓の外を確認しながら、急いで食べる。


「ごちそうさま!」


 そう言って、いつも通り食器を片づけ、部屋に戻る。


「はぁ、はぁ、はぁ……」


 どうやら、ここ最近の俺は、どうかしていると思う。どんどん、上に行くというよりかは、下に行っているような気がする。


「さて、着替えて出掛けるか……」


 俺はさっさと制服に着替え、学校に行く準備をした。




 はぁ……。眠い……。


 俺は学校に着き、教室についた途端、椅子に座って、ぐったりとしていた。


「おはようございます、陣君」


「ああ、おはよう……」

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