XVII
と、栞が選んだ服装をとりあえず着てみる。確かにこのコーディネートはぴったりだ。
「うん、これがいいな。しっくりときて動きやすい。大丈夫だと思う」
「そうだね。お兄ちゃんにはこれが似合っていると思うよ。だって、他を見ていると、普通って感じしかしないもん。やっぱり季節とか、天気とか考えた方がいいからね」
栞は、えっへん、と誇りきったように言った。
「それじゃあ、俺は出かけるから家で大人しくしていろよ」
「分かってるよ。大人しくしてるって、ほんじゃ、行ってらっしゃい」
栞に見送られて、俺は階段を下りた後、靴を履いて、家を出た。
家を出たお兄ちゃんを確認した後、私は自分の部屋に戻った。
私がお兄ちゃんに来るなって言って、来ないわけがないじゃない。しっかりと、この目で確かめないといけないもん。そのためには事前に仕掛けを張っておかないとね。
私はすぐに部屋に戻った後、自分のスマホの画面を開いて、とあるアプリを起動させる。
事前に登録しておいた情報が、しっかりと起動しているかどうか、確かめる。
うん、動いてる、動いてる。作戦成功ね。
私は、すぐに着替えを済ませて、武器を装備し、お兄ちゃんに見つからないように後を追う事にした。
お兄ちゃんに仕掛けたのは、GPSであり、このスマホの端末に入っている情報が、お兄ちゃんの居場所を教えてくれる。
スマホの地図を頼りに一定の距離を取りながら、私の尾行が始まったのだ。
塩見市にある商業施設の噴水広場の前で、俺は時間より早く着いたため、栞を待つことにした。休日なのか、家族連れやカップルなどが多い。
数分くらい待っていると、遠くの方からこちらに向かってくる美少女がいた。
白のワンピースを着て、帽子をかぶって、可愛い髪留めをした少女が俺の前で立ち止まった。
「す、すみません。待たせてしまいましたか?」
俺を見上げるこの美少女は、一体、誰だろうか。いつも学校で会う雰囲気とは別の匂いを漂わせている。可愛いの一択しかない
「い、いや、別に……。俺も今、来たところだから……」
「そ、そうですか……。良かったです。私、遅刻したと思っていましたから」
緊張のし過ぎか、お互いの目を見つめ合うのが恥ずかしいくらいだ。
こんなに可愛くオシャレしてくるとは思ってもいなかったし、普通のデートだと思っていたが、これは思ってもいない、大変なことになるのではないだろうか。
「………」
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