XIII

 学校から近く、普通のアパートに一人暮らしをしている。


 外からは、何もない、ただ、普通のアパートであるが、セキュリティーがしっかりとされており、簡単にはこの部屋に入ることすらできない。もちろん、僕と同じく、この時代に来た富山さんも同じだ。


 僕は、部屋に入った後、ベットの上で横になりながら、色々と考え事をしていた。


 今回の収穫で、僕がやるべきことが増えたのは事実であり、これを上に報告するのを悩んでいるのは確かだ。


 もし、仮に、上に報告したところで誰が裏切り者なのか分からない今、自ら動くことができないのだ。悩み事が増えていくたびにひどい頭痛が響いてくる。


 今はまだ、この事を知られていないのは幸運といえるだろう。ならば、これを逆手に向こうから仕掛けてくるのを待って、罠を張り、神の一手を打つのは、宝くじを当てるよりも難しいのかもしれない。


「さて、どうしたものでしょうか。この僕が、後手に回るとは珍しいですね。先手、先手を打って、その先の勝ち筋を読むのが、僕の得意パターンですのに……。最初に現れた天使の名がアリエスですか。さてさて、誰がこの物語を仕組んだのでしょうかね」


 やはり、今の僕はおかしい。自分自身を笑っている。


 だからこそ、面白くなったのでは? いや、面白くなんてない。


 僕が面白いと思っているのは、彼らがいる場所なのかもしれない。


 いつの間にか、僕もあの場所が気に入っていたのでしょう。いやいや、僕としたことが、何をはしゃいでいるのでしょうか。


 さて、とりあえず、状況を整理し、できるだけ機関から情報を手に入れるとしましょうか。


 僕は、ベットから飛び起きて、隣の部屋に移動した。


 この部屋は、僕以外、入ることができない場所であり、部屋の明かりをつけると、何台もコンピューターが置いてある。このコンピューターは、この時代よりもスペックが優れており、僕はこの機械を通して、未来にある機関と情報を共有している。


 さて、僕の特技である情報を集めるとしましょうか。


 コンピューターの電源を入れ、パスワードを打ち込む。これから数時間、画面を睨みつけながら情報収集を始めた。



   ×   ×   ×



 それから数日後——


 デート当日の土曜日の朝。俺は、いつもより一時間早く目が覚めた。


 どうやら、遠足前日に眠れない小学生と一緒だ。子供だから仕方がないか。

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