Ⅴ
そうして、時間を潰しているうちにチャイムが鳴り、クラスメイト達は自分の席に座り始める。それから五分も経たないうちに新たに二組の担任になる教師が教室に入ってきた。
さっきまで騒いでいた生徒たちは静まり返り、担任になった教師の話を真剣に聞き始める。
今日は、この後、全校集会があり、そして、一時間のホールルームを終えたら、今日の授業は終了である。午前中に終わるため、午後から部活のある生徒は残り、何もない生徒たちは下校時間となる。
授業は、明日から本格的に始まるらしく、担当教科になる教師たちの発表もプリンと配られ、他にそれぞれの教科の教科書や参考書も配られた。
すべてのスケジュールを終えたお昼前、午後から何をしようかと考えていた俺は、とりあえず、机の中に入れておいた自分の道具をカバンの中に入れようとした。
すると、見覚えのない白い封筒が一通、机の中から出てきた。
変に思ったが、とりあえず、中だけでも確認しておこうと、封筒の中を開ける。どうせ、誰かと間違えて、俺の机の中に入れたのだろうと思っていたが、まぁ、このネット社会、こんなアナログな方法を使うんだと思った。
【放課後、南校舎四階、文芸部部室にてお待ちしております】
と、それだけ書いてあった。
一体、誰がこんな手の込んだ面倒な手紙を出したのかは知らないが、とりあえず、気にはなっていた。
手紙を封筒の中に戻し、制服のポケットの中に入れる。それから他の自分の荷物をカバンの中に入れ、この後、部活動がある生徒たちが騒いでいる教室を後にした。
中校舎と南校舎を繋ぐ渡り廊下を歩き、そのまま四階の文芸部部室に向けて階段を上る。
階が上がるごとに、生徒がいる人数は極端に減っていく。四階のフロアにたどり着くと、空き教室の隣が文芸部部室になる。初めてくるわりには、あまり緊張していない俺。扉をノックし、ドアノブを回して、扉を開く。
すると、そこにはうちの学校の制服を着た男女二人がこの部屋にいた。それもなんとなく見覚えのあるような、ないような二人である。二人は、中央に置かれた大きい机の左側に置いてある席に座っていた。とりあえず、部屋の中に入り、扉を閉める。
「どうも、あなたが坂田陣平さんですよね?」
と、俺から見て、左側の席に座っている男子生徒が話しかけてきた。どうやら、あの手紙は俺宛だったらしい。
「あ、ああ……」
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