Ⅳ
県立塩海高校——
この高校は塩海市にある高校の一つであり、進学校である。多くの生徒は卒業後、専門学校や大学に進学する。学科は、普通科と特進科の二つに分けられており、普通科が五クラス、特進科が一クラスの構成になっている。俺は今年から普通科の二年生になった。
学校の構内は、三つの棟に分けられており、理科室、美術室、音楽室のある北校舎、生徒たちが普段使う教室の中校舎、職員室、売店、校長室などがある南校舎である。他にも部室棟、体育館、プール、テニスコート、ハンドボールコート、グラウンドがある。
学校の敷地内に入った俺は、まだクラス分けも来ておらず、一年の時に在籍していたクラスの駐輪場に自転車を止め、一年の時の教室に向かった。
教室内には元クラスメイトが集まっており、時間が来るまで自由に行動している。
俺は、適当に空いている席に座って、時間になるまで居眠りをした。
学校のチャイムが鳴り、元担任教師がクラス人数分の印刷した紙を持って、教室へと入ってき、教壇の所に立つ。
そして、いろいろと新学期についての説明をしながら、二年生の新しいクラスが書かれたプリントが一人一人に配られ、発表された。
自分の名前を探し、二組の情報のやや上の所でようやく見つける。
二組か……。まぁ、それにしてもこのクラス男女の対比が五分五分なんだよな。
他のクラス分けも見ているが、この二組だけ、ほぼきれいに男女の判れ方がはっきりとしている。特に不思議だとまでは思わなかったが、つい、目に留まり、クラスメイトの前年度のクラスと名前も確認する。このクラスで共にした生徒の半分以上は別々のクラスになるようだ。つまり、新たなクラスはゼロからのスタートであり、ほぼ、アウェイ状態である。
クラスが解散した後、学生それぞれが新しい教室に向けて、この一年の教室から二階にある二年の教室へと移動する。
俺も荷物を持って、一年間お世話になった教室を後にした。
この後は、新しい教室で新たに担任になる教師を待ち、そして、全校集会、新学期の挨拶がある。そして、五日後には新入生、後輩が入学してくる。
階段を上り、二年のフロアにたどり着くと、二年二組の教室へと入っていく。
ここでもやはり、一年の時とは違うが、男女のグループは少しずつできているように見える。
そもそも男女のグループでもカースト制度によっては、俺は下の位置、簡単に言えば、オタクたちの仲間入りまで来ているのは、言うまでもない。
教室の自分の席は廊下側の前から五番目の席であり、俺にとってはまあまあな場所である。
自分の席に腰を下ろして、クラスメイトの様子でも窺うように教室の辺りをじっと見つめた。
どこへいっても代り映えしないこの風景は、俺の入る隙はあるのだろうか。いや、ないのかもしれない。
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