104.得られた情報
レイオスさんとエルーシャさんが、屋敷に来てから数日後、スライグさんとセレリアさんが訪ねて来た。
どうやら、ナルキアス商会の情報網を使った調査が終わったようだ。
「えっと……そちらの方は?」
「ああ、彼女はエルーシャさんです。私がズウェール王国の聖女だった時の部下で、今はルミーネとの戦いに協力してもらっているんです」
「ああ、そうでしたか……エルーシャさん、僕はスライグ・ナルキアスといいます。こっちは妹のセレリアです」
「ルルメアから聞いています。お二人とも、よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
エルーシャさんは、二人とそのようなやり取りをした。
彼女には、私がこちらの国に来てから何をやっていたかは話している。この数日の間に、色々と話し合ったのだ。
「スライグさん、それでルミーネのことは何かわかりましたか?」
「ええ、マルギアスさん、色々とわかりました」
そこで、マルギアスさんがスライグさんに問いかけた。
騎士団としても、スライグさんの情報は重要だ。そのため、早く知りたいのだろう。
「今回の調査によって、ルミーネの所在がわかりました」
「本当ですか?」
「ええ、彼女はハールース島という島にいるようです」
「ハールース島……」
スライグさんの言葉に、私は驚いた。
ルミーネの所在。それは、とても重要なものである。
やはり、商人の情報網というものはすごいものであるらしい。私は、改めてそれを実感していた。
「商人を当たってみた所、彼女が島を買ったという記録に辿り着きました。船も買っているそうですから、恐らくそこにいるはずです」
「なるほど、確かに拠点のようですね……」
「ええ……ああ、ちなみに守秘義務とかがありますが、その辺りのことは何も言わないでくださいね?」
「ええ、わかっています」
スライグさんは、少し苦笑いしていた。確かに、商人の契約としてはあまり良くはないだろう。だが、今回は緊急事態である。その辺りのことは、気にしなくていいだろう。
「しかし、島ですか……まさか、そんなものを買っているなんて……」
「ええ、ですが、その島は無人島のようですから、隠れるには打ってつけでしょう」
「確かにそうですね……個人の島ですから、騎士団も寄り付きませんし……」
ルミーネが隠れたり研究したりするにあたって、無人島というのはかなり有用だろう。
人が寄り付かないそこなら、何をしても問題はない。人に見せられない研究も、存分にできるはずだ。
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