73.対策された攻撃
「はっ! 二人に増えた所で、なんだというのだ! お前も、この俺様の爪で引き裂いてやる!」
「大きな爪ですね……あれに切り裂かれたら一たまりもないでしょうね」
「ええ、だから、できるだけ近寄りたくはないんです。私は、そんなに俊敏に動けないので、近づかれたら多分負けます」
「そうですか……それなら、私の後ろに下がっていてください」
「はい」
マルギアスさんは、私を庇うように前に立ってくれた。
彼の得物は、ドルギアさんと同じように剣である。近接戦闘に、心得はあるだろう。
そんな彼が前にいてくれるのはありがたい。これで、万が一距離を詰められても、マルギアスさんが対応してくれるはずだ。
「作戦会議は終わったか?」
「ええ、終わりましたよ」
「名案は浮かんだのか?」
「さて、どうでしょう?」
「む……?」
そこで、私はそろそろ動くことにした。何故か話してくれている間待っていてくれたので、私はまたも仕込みを終えていた。
以前と同じように、彼を燃やす準備ができたのである。
「……これが通じるかは、わからないけど」
「ぐあああああああ!」
私の合図とともに、グーゼス様は燃え上がった。
彼は、切っても再生してしまう。そのため、燃やすしかない。
しかし、私には心配があった。これは、以前使った手である。それが、また通じるのだろうか。
「ああああはははははは!」
「なっ……」
燃え盛りながら、グーゼス様は大きな笑い声をあげた。
その後、すぐに彼の周りから炎が消えていく。一瞬の内に、鎮火してしまったのだ。
「効かん! 効かんぞ!」
「やっぱり……」
「ふん! 強化された僕の体は無敵だ!」
グーゼス様は、勝ち誇ったように叫びをあげていた。
やはり、前回と同じ手は通じないようだ。ルミーネのことはよくわかっていないが、前回の弱点を残してくれる程、彼女は甘くはないらしい。
「よし! それならこちらから行かせてもらうぞ!」
「来ましたか……」
グーゼス様は、その爪を振りかぶりながら、こちらに向かって来た。
それに対して、マルギアスさんは剣を構える。彼の攻撃を受け止めるつもりのようだ。
「邪魔だ!」
「くっ……!」
グーゼス様の爪を、マルギアスさんはその剣で受け止めた。
しかし、それは片手の爪を受け止めただけだ。彼の爪は両手にある。このままでは、その爪で切り裂かれてしまう。
「そうはさせない!」
「ぬぐっ!」
それを防ぐために、私は彼に向かって光の球体を放った。
それにより、彼は怯む。その隙に、マルギアスさんも抜け出してくれたようだ。
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