第2話 野良猫、初めての我が家。

家につき、濡れたこの子のからだをタオルで拭く。

といっても、傘の下にいたおかげでほとんど濡れていなっかた。

毛並みや見た目を見る限り、捨てられて日は浅いと思う。

まぁ、ほぼ毎日通っている道で初めて見たから日は浅いか。

「君の名前は何だったのかな…」

首輪も置手紙もなっかた。あったのは、この子を雨から守っていた紺色の傘だけ。

「紺…」

「ニャー」

ただ呟いた言葉にこの子は自分が呼ばれたかのように返事をした。

「紺って名前でいいの?」

「ニャッ!」

名前が気に入ったのか今までで一番明るい返事をする。

私は紺の頭を撫でながら微笑んだ。

「紺。これからはここが君の新しい家だよ。」

私一人では少し広く感じていた1LDKの部屋。

引っ越そうか悩んでいたが、新しい家族が増えたならもう少しここに住んでもいいかもしれない。

「ようこそわが家へ。これからよろしくね。」

「ニャ!」

そうして私と紺の1人と1匹の生活が始まった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る