第10話 神の正体
白い球体の中では黒い人型のロボットが台の上で作業をしていた。
葵の置いて行ったサーベルの柄より、霧状の物の入った透明の筒を取り出していた。
ロボットの頭部は球体で、顔の中央部分が青く点滅していた。
頭部の下に円柱の体があり、細長い腕が2本付いている。それに3本指の手が付いていた。
体の下には頭部より一回り大きい球体が付いて、左右上下と回転させ動いていた。
作業台の横には同形ロボットが置いてあった。
作業しているロボットが、その頭頂部に触れると、穴が開き、先程の筒を押しいれた。
穴は塞がり、ロボットの顔の中央が赤く点滅し動き始めた。
顔の点滅は通信手段のようでお互い交互に点滅し始めた。
そして、宝刀とサーベルを台の上に置いた。顔から白い光が出て、宝刀とサーベルに当たると指位に小さくなった。
ロボットはそれぞれの円柱の体に埋め込んだ。
宝刀の柄の先端の金具だけ小さくならずに床に転がり落ちたが、ロボットはそれには気が付かなかった。
次の日の夜、川の中から白い球体が水面に浮上し、空に向かって飛んで行った。
葵の姿を見ると、アイラは駆けて来て葵に抱きついた。もう葵が異国に帰ってしまったと思ったらしい。葵は複雑な気持ちになった。
部族の村で気がついたアリーナは将軍を倒したまでは覚えていた。
葵はアリーナに目的は達成し、宝刀も神に返したので戦いを止めるように話したが、元気になると各部族の戦士と共に戦いを繰りかえしていた。
アリーナが戦闘に出掛けることが多く、さびしがりやのアイラは葵のテントで暮らしていた。いつも葵の背中に抱きつき寝ていたり、葵を見つめる目が男を意識しているように感じ、凛を思い出してしまった。
私は男に近い容姿になってしまったのか? と思って、川に行き水面に写して見たが、変わりはなかった。
将軍を倒して何カ月も経ったが、相変わらず兵隊の襲撃は続いていた。部族の状況は良く成らなるどころか悪くなる一方だった。
部族と葵とアイラはは襲撃のある度に移動していた。
暫くして、アリーナが珍しく2人に会いにきた。葵はまた戦闘を止めるように説得したが無駄だった。
アイラも「アリーナ! 行かないで」と止めたが、アイラを抱き寄せて、頭を撫ぜて「ごめん」と言い、部族の戦士と共に戦いに出かけて行った。
それがアリーナとの最後で、戦いで撃たれて死んだとか、捕虜になったが白人の資産家に見染められて夫人となったとかの話が後で伝わってきた。
色々な噂が出るほどアリーナの名前は知れ渡っていた。
将軍を倒した後に戦闘で怪我をすることもあったが、直ぐ傷も癒え戦闘に参加していたが、宝刀がなくアリーナも不死身ではなくなっていた。
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