第8話 転戦
10日近く移動して部族は川の近くにテントを張った。
アリーナは他の部族の戦士と共に転戦していた。
葵は歴史が分かっていた。将軍を倒す事が目的なので無益な戦いは避けるようにアリーナに忠告したが無駄だった。
アリーナは戦闘の経験を積む度に戦闘能力を増していた。
部族の斥候より、ある部族の村が兵隊に狙われていると情報が入った。
葵はアリーナとアイラと共に部族の男達と村へ向かった。
総勢30人程であった。
葵はアイラに部族の村で待つように伝えたが、私も行きたいと、主張したので弓を持たせ、アリーナの後ろに着く事を条件に許した。
村に着き、部族村長に兵隊の襲撃がある事を知らせて、急いで女・子供を裏山に非難させた。
村の入り口の横に高い草の茂みがありアリーナ達はそこに隠れた。
暫くすると茂みより少し下がった平原に兵隊の列が現れた。
総勢50名程で高いラッパの連続音がして、村に向かって突撃をして来た。
横10列、縦5列の隊形で先頭が村の入り口付近に来た時、アリーナたちはその隊列の横からくさび型に突撃した。
不意打ちを受けた兵隊は隊形を崩した。
先頭にいたアリーナは刀を自由に扱い10人を倒した。葵も弓で矢を束にして放ち6人倒した。
アリーナ達が隊列を突き抜けた時には兵隊は30名程に減っていて、部族も20名程に減っていた。
兵隊は隊列を立て直し、部族は反転し正面で対峙した。
高いラッパ音が鳴り、お互い正面から突撃した。アリーナはまた先頭で何人かを斬り倒した、次に隊形を修正し対峙した時、双方15名程になっていた。
もう少しで殲滅できるとアリーナも葵も思った時、丘の下から高いラッパ音が聞こえた。
総勢50名程の兵隊が隊列を組み丘の下から近づいて来ていた。
アリーナ達は戦いを諦め逃げた。20名程の兵隊が追撃してきた。
その間隔は徐々に狭まり、部族の男達は後から撃たれ次々に馬から落ちた。
先頭のアリーナは後ろの状況に気づき反転した。
アイラ達を先に行かせ、兵隊の列に正面から突っ込んで行った。
葵はアリーナの後ろに付き刀を抜き着いて行った。
銃弾も剣も跳ね返しアリーナは一瞬の間に10人を刀で倒した。
動作の速さは葵と変わらなかった。
葵も5人ほど刀で倒した。残った兵隊は逃走した。
アリーナ、葵の活躍は素晴らしかったが、部族の戦闘は数が多い兵隊に圧倒されていた。
兵隊の間ではアリーナは光剣の女神として恐れられていた。
アリーナの姿があると逃げ出す兵隊も出て来た。
当然その話は将軍の耳にも入っていて、士気に関わるので早い内に対処しなければと考えていた。
アリーナは白人である自分の顔が嫌いだった。本人は顔に色の付いた墨のような物をよく塗って戦闘に参加していた。
数か月が経っていた。アイラは戦うことを止め葵の食事の世話など部族のため働いていた。葵はアイラが戦闘を止めた事で安堵した。
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