第85話 執着。−2
「……変なこと言うな!そんな関係が許されるわけない!」
「バレなきゃ…、何をやってもいいと思うよ…」
「カナン…ちゃん、そんなことはダメだよ」
「……なんで…?私はこんなに好きなのに、どうしてダメなの…?」
このままじゃ本当に一線を越えるような気がして、すぐ風呂から出てきた。
心臓が激しく跳ねていて…、落ち着くために部屋の扉を閉じる。先、カナンから感じたその感情はなんだろう…?今まで感じた感情とは少し違うような気がした。これはもしかして「罪悪感」って言うものか、それ以上はいけないって俺の中から叫んでいた。
「……どうにかしないと…」
「お兄ちゃん…、どうして扉を開けてくれないの…?」
「……」
扉に寄りかかっていた俺の後ろからカナンの声が聞こえる。
「開けて…、扉開けて…」
「服は…?着たよね?」
「お兄ちゃんが扉を開けないと、私この場で死んじゃう…」
「その話はもう言わないことに…」
すぐ扉を開けてカナンに一言を言ってあげようとしたら、逆に俺が襲われてしまった。わざと…、外で俺が扉を開けるのを待ってたんだ…。バスタオルを体に巻いて俺を床に倒したカナン、そして彼女の一言が俺の心に釘を刺してしまった。
「今日…、私とやらないと今までの関係、お兄ちゃんが俺にやったことを全部お母さんに言うからね…。そして私も死ぬから…」
「カナン…。お願いだから…もうこんなのはやめよう…。茜の時も俺が諦めたから、今度はカナンが諦めてくれ…」
「何…?カナン、そんな話知らない…。茜って誰…?」
……どうしてこうなったんだろう。
「僕はカナンちゃんとやらない…、妹だから…僕はそんなことやりたくない」
「違うよ…。お兄ちゃんは私とやるから…、力抜いて…」
「カナンちゃん、頼むからもうやめて…やめて…」
「私の裸に勃起したお兄ちゃんがそんなことを言っても…」
「違うって…」
「うるさい…」
本当にやりたくなかった…。俺はカナンとそんな関係になりたくなかったのに、気づいた時はもうベッドでキスをしている俺たちがいた。とても激しくて、これが本当に中学生なのか…と疑ってしまうほど、カナンのやり方はエロくてすごかった。
「結局…、従うくせに…。お兄ちゃんはずっと…ずーっと、私を味わったこの日を忘れられないからね…?これが私からのプレゼントだよ?」
「カナン…」
「続きをしようね?」
……わけわからないことを話した。
カナンを見るたび、俺は亡くなったお母さんを思い出してしまう。「死ぬ」と言う言葉はとても怖くてカナンのそばにくっついていた。いなくなるのが嫌で君の話ならなんでも聞いてあげたのに、どうしてカナンはいつも足りないんだ…?
俺は…、俺は人生の半分をカナンに捧げたよ…。
「もうちょっと…、こうやって…やるの」
「……」
幼い頃の俺に、カナンは…ただの獣だった。俺を飲み下す、獣…。
「もっと、私を興奮させてくれない…?お兄ちゃん…」
「カナンちゃん…」
「やり方が下手でもいいからね…?どうせ私も初めてだから、お兄ちゃんとエロいことがしたいの…。私の一番深いところにお兄ちゃんの感触を残したい…」
言葉の一つ一つがエロくて、これが本当に中学生が言うことなのか…。
キスを終えた後はカナンが硬くなってる俺のモノをくわえた。理性が働かない、思考も停止する。言葉も上手く出ない…、俺は…妹の前で恥ずかしいところを見せながら喘ぎ声を出していた。
「可愛い…、可愛い…。お兄ちゃん好き…、好き、好き、好き…」
「……っ」
「気持ちいいでしょう…?」
「……」
「いいでしょう?」
「うん…」
「じゃあ、次は入れて!」
「……」
真っ赤になったカナンの顔は、本気でやるつもりだった。
怖くないのか、カナンはそんなことをやっても…平気でいられるのか。今、カナンと一線を越えたら…もうそんな話はしないんだろう。もう、いなくなるとか死ぬとか言わないんだろう…?そうだろう…?
もう誰も失いたくないよ…。
だから、あの日…カナンの中に自分のモノを入れてしまったんだ。
「あ…あぁ…っ…!うんっ…」
「……」
「はぁ…、ずっとお兄ちゃんとこうなりたかったよ…」
「……」
「ずっと、ずっと…私の足りない感情を満たしてくれるから…、お兄ちゃんのことが大好き…」
カナンが望んでいた通り…。
でも、俺はお兄ちゃんとして絶対やってはいけないことを…、やらかした。あの時の感覚が蘇るたび、息が止まるような気がする。俺がカナンを抱いた時の顔が、その感覚全てが…ずっと俺を苦しめていた。どれだけ時間が経っても、俺はその記憶を忘れられなかったから。
そう…、だから美香さんとそんなことをやっていたかもしれない。
セックスの後、俺はそばからこっそり泣いていたカナンを思い出してしまう。なんだろう…?当時の俺はその涙の意味がよく分からなくて、カナンの体を抱きしめるだけだった。なぜ、欲しいのを手に入れたのに…カナンは泣くのか…。
よく分からなかった。
「……ずっと、好き」
それから数ヶ月後、いつもと同じ景色だったはずの世界が変わってしまった。
カナンはずっと病院に通っていたのに…。症状がどんどん悪化していて、俺が中学三年生になった時にはもうこの世にいない人だった。
それがとてもつらくて、つらくて…その家から逃げ出してしまったんだ…。
「お母さん…、本当に…すみませんでした…」
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