第12話 綾乃さんのマッサージ
綾乃さんと付き合い始めてから、早くも二週間ほどが経った。
俺たちの間に大した変化はなく、恋人らしいことはデートしかしていない。そのデートも商店街で美味しいものを食べ歩きするだけで、あんまり恋人らしいムードにはならなかった。
今日は体育祭の練習に巻き込まれてしまい、クタクタで帰宅する。
練習は任意なのだが、どうせ暇だろうと言われて球技の人数合わせに組み込まれてしまった。
暇なのは事実なので断る理由が見つからなかったし、やる気満々の藤原さんに上目遣いでお願いされたので無下にはできず、日が暮れる直前までボールを投げ続けるハメになったのだった。
「ただいま……あー疲れた」
「おかえり。やけにげっそりしてるわね」
「体育祭の練習に付き合わされたんだ。おかげで疲れ果ててしまった。まったく、高校生ってのは元気が有り余ってるな」
「ハルくんも高校生でしょうが」
綾乃さんはソファに座ってアイスを齧っていた。
バニラアイスの表面をなめらかなチョコでコーティングした、俺も大好きなアイスだ。残りがないか冷蔵庫を開けてみたが、綾乃さんが食べているやつで最後のようだった。
とにかく疲れた身体を休めるために、着替えもせずベッドにダイブ。
ふかふかの布団が気持ちいい。身体を弛緩させてベッドに埋まっていると、ぺたぺたと綾乃さんの足音が近づいてくるのが分かった。
「お疲れね。私が疲労回復のマッサージしてあげようか?」
「綾乃さんのマッサージか……いいな」
彼女にマッサージされるなんて、実に恋人らしいじゃないか。
ありがたく身体を揉んでもらおう。
「そのまま、うつぶせでいなさい。私が凝り固まった身体をほぐしてあげるわ」
「了解……うおっ!?」
尻に重みが伝わり、綾乃さんが俺に腰を下ろしたのが分かる。
股間を俺の尻に密着させながら、綾乃さんは手を伸ばしてマッサージを始める。
まずは肩を手のひらで揉みほぐされ、気持ちのいい痛みで悶絶する。
ボールを何度も投げて酷使された肩が、彼女の手による刺激で悦んでいた。更に手のひらが背中、腰にまで移動して、痛気持ちよさで声が出てしまう。
「うっ、おっ、やば、ああっ……!」
「ふふ、私の手つきで全身が悦んでいるわね。もっと良い声で啼きなさい!」
「それマッサージで言う台詞じゃないだろ……ひゃあっ!?」
一番疲れていた肩の部分を握りこぶしで強くグリグリされてイケナイ声が出てしまう。というか綾乃さんマッサージ上手くね。俺が刺激されて快感な部分を全て理解しているようにピンポイントで会心の一撃を決めてくるんだけど。
「ああっ、これ以上はらめぇ!」
「ハルくんもノリノリじゃない。らめぇなんて今時エロ漫画のヒロインすら言わないわよ」
「どうしてエロ漫画の事情に詳しいんだよ」
「だって読んでるし」
「どうして読んでるんだよ」
「それは言わなくても分かるでしょ?」
分かるけど分かりたくなかった。
綾乃さんの秘密を知ってしまい、また一つ彼女への理解度が高まったところで刺激が止む。
「さてさて、お次はどのようにハルくんを責め立てようかしら」
「お手柔らかにしてくれ……」
「うーん、そうね。じゃあ仰向けになってくれる?」
綾乃さんがお尻を上げた。俺は言われた通りに仰向けになる。
まるで主人に屈服の意思を示す犬のように綾乃さんを見上げる。
「よしよし、次はここを気持ちよくしてあげるからね~」
「ちょっ……綾乃さん、そこは!」
綾乃さんは俺の股間に跨がり、お尻を落とす。
股間の中央に生える敏感な棒が、彼女のお尻の感触を捉える。
今の綾乃さんはタンクトップとショートパンツという格好で、下から見上げると豊満な乳房がすごい。身じろぎするたびに揺れる下乳が非常に眼福だ。
そして、俺の股間に乗せられた柔らかい女性的なお尻。その感触だけでも俺の気を昂ぶらせるのに充分だったのに、綾乃さんの腰が動いてお尻と棒が擦れ合い、股間がイケナイ快感で満たされる。
「まずいって綾乃さん……ぐっ……」
「ここもちゃんとほぐさないとね~男の子の大事な部分なんだし」
「べつにほぐす必要ないというか、定期的に自分でほぐしてるというか、ああっ……!」
「ふーん、私が出かけているうちにハルくんもしっぽりやってたんだ?」
「そりゃ、溜まるもんは溜まるし……」
「言ってくれたら私が抜いてあげるのに」
そう言った綾乃さんは、小悪魔のように舌ペロする。
彼女の顔は若干赤くなっており、腰を左右に動かすたびに情熱的な吐息が漏れ始めている。
これはダメなやつなのでは。
このままではお互い最後までイッてしまう気がしたので、俺は綾乃さんの腰を両手で掴み上げて無理やり股間から離した。
「もう、いま良いところだったのに!」
「勝手に人の股間の上でおっ始めないでくれ」
「そんなこと言って、ハルくんも感じてたくせに~」
ニヤニヤと小悪魔の笑みを浮かべて図星を突いてくる綾乃さん。
俺は呆れると同時に、股間の棒の屹立を悟られないかと心配で仕方なかった。
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