第2話

 或いは親に奴隷のように働かせて、この学校で余暇という名の勉強を楽しんでいていいということなのだろうか? 


 ここは刑務所ではないけれど、ここが最後の学校だった。

 この学校を必死に卒業しなくてはならない。

 それでも、すでに真っ暗な未来しかないのだ。


「そう心配しなくても、いいんじゃないか?」

 西野君と最後の別れの時に、片想い少しだけ通じた。

 私の席まで来た西野君の顔は今ではおぼろげになりはじめていた。

 彼は私のことを良く思っていたいのだろうか?

 すでに、彼には彼女がいて、最後に私という一人の終わってしまった女子に別れを告げた方がいいと判断したのではないだろうか?

 そうでなくては可哀想だからと……同情? 

 そうとしか思えない。


 けれども、違ったようだ。


 私の後ろの席から西野君の声が聞こえる。

 幻聴ではなく、後ろの席で隣同士で話し合っている声がはっきりと聞こえる。


 こんな駄目な私には、西野君は何か言ってくれるのだろうか?

 何も言わずに終わり。

 彼も最後の学校を卒業する。


 冷たい月の夜空を見上げた。

 私は廊下に独り立つ。

 次の授業は、物理の先生が寝坊して遅れたからだ。

 月明かりの廊下にいる私に、冷たい風が吹きすさび。

 私は風を受けながら社会でのそして奴隷との関係を探していた。勿論、奴隷になりたくなかったのだ。


 西野君が教室から出て来た。

 知らない男友達と一緒に。

「なあ、きっと楽しくなるって」

「最後の学校だしな」

 そんな会話を耳に入れ。

 私は思い切って、西野君の顔を見つめ話し掛けた。

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