深夜学校
主道 学
第1話
夕焼けが、寂しさを徐々に紛らわしてくれた。
今日が初日の私には、退学をした弟も通っている深夜学校へと赴いた。
ただ、赴いた。
冷え込み始めた昇降口に革靴を入れ、生徒数が圧倒的に少ない校舎へと入る。
野鳥のさえずりもなく。
柔い日差しもない。
秋の夕暮れ時の学校。
その学校は早朝に終わる。
教室へ入った。
授業開始のチャイムが鳴る。
先生は寝ぼけ眼を擦りながらの授業が始まった。
必死に学ぶ。
こんな18歳の私を他者からはどう見えるのだろう?
前の学校では、単位が不十分だった。
落第を幾つかすると、退学の道しかなかった。
理由はなんだったのだろう?
クラスメイトの西野君に恋を抱いていた。
それを知った隣のクラスの不良グループに絡まれてからだったろうか?
家庭と私の不和という。
家の事情だっただろうか?
近所の人たちに挨拶をしなかったから、暗い子と言われるようになったからだろうか?
A4のノートに黒板の図式を半分書いていた時に、ふと涙を落とした。
学校の先生が私の席の隣に佇んでいた。
何も言わずに、見つめてくれていた。
優しそうなその目を見ていると。
何だか今までのことを全て忘れそうだった。
眠い目を擦る先生は、教壇に戻ると明るい顔を無理をして作り、急にギリシャ時代でのことを話し出した。
スコレー。余暇と呼び。奴隷に働かせた時代。
今の私はどうだろう。
学校という名の。
社会という名の。
その世界で生きる奴隷にも等しい存在なのではないだろうか……。
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