9月
9/1~9/10
1日
こんな世界のために死ぬことなんて無いでしょう。
そう言った貴方は私の手を取った。そうして二人、どこまでも駆け出すの。確かに世界は冷たく残酷だ。世の中は馬鹿ばっかり。それでもそんなもののために、私が犠牲になる必要はない。
どこかに逃げ道はあるはずだから。
貴方とどこまでも逃げていく。
「進む」
2日
その小さな手に触れたとき、私の生きる意味が出来たんだ。こんなに小さな体で、必死に「生」を刻んでいる。なのに大きい私はどうだろう。今までこんなに、「生きる」を実感したことはあっただろうか。
きっと今からでも遅くないね。私も精一杯生きるよ。前を向いて、この体が朽ち果てるまで。ずっと。
「生」
3日
俺は悪いことをした。だから深く反省し、足を洗った。最初、周りからの目は冷たかったが、徐々に優しく接してくれるようになった。俺は二度と、悪いことをすることはなかった。俺はいつまでも、優しい人たちとの生活を共にした。もうあの頃の俺ではない。決して戻ることもない。
という夢を見たんだ。
「Life has non sugar」
4日
貴方のことが嫌いで仕方がない。とっとと消えてしまえ。全てが目障りだ。貴方のことを考えるだけで、イライラする。腹立たしくて吐き気がする。
そうだ。貴方を本当にこの世から消してしまえば。そう思って消した。
でもどうしてだ?頭から離れない。あの憎たらしい顔に、この後も囚われるというのか?
「嫌も嫌よも好きのうち」
5日
俺は日常を過ごす。朝起きて、顔を洗い、歯を磨き、遅刻しそうだからパンを咥えながら走って、曲がり角で運命のあの子と激突。刺激的な恋が始まり──。
「ちょっと勇者!!いつまでゲームしてるの。早く魔王を倒しに行きなさい!!」
うるさいなぁ、魔法使い。今いいところなんだから邪魔するなよ。
「RPG」
6日
貴方と電話している時間がとても至福なの。
その時だけは、貴方の声を独占できているっていうことに、すごくドキドキするの。
更に、貴方の背後で何かの音が聞こえるのも好き。
テレビ、音楽、車、雨音……貴方の周りにどんな世界があるのか、わかるから。
だから、ね、電話がしたいな。今、時間ある?
「電話」
7日
ゆっくり息を吸って?そう、上手。
そうしたら、同じようにゆっくり吐くの。焦らないで?大丈夫、私が隣にいるから。
背中を擦ってあげる。これで少しは楽になった?……そう、なら良かった。
貴方はいつも頑張ってる。私はいつも横で見ているから、誰よりもそれを知ってる。
いつも、側にいるからね。
「精神安定剤」
8日
美術品の価値なんてわからない。
この絵なんて、僕の落書きと大差がないようにしか思えない。この絵が世界的に評価されているなんて冗談だろう。これくらいなら僕にも描ける。
「私、この絵が好きだな」
横にいる君がそう言って、目の前の絵を指差す。僕は笑って答える。
「うん、僕もそれが一番好き」
「美術館」
9日
ある日顔に関わる価値観が逆転した。今まで美人と言われた人が貶され、ブサイクと言われた人がモテるようになった。
私はブサイクに属している人間。でも私には恋人がいて、そのままの貴方が好きと言ってくれる人だった。
そして付き合いはまだ続いている。貴方にとって本当に顔は関係なかったんだね。
「顔じゃない」
10日
手を繋ぐのが好き。ハグをするのが好き。キスをするのが好き。貴方とする全てのことが好き。
じゃあ何が一番好き?と首を傾げながら貴方が問う。少しも迷うことなく、私は答えた。
離れることもなく、でもちょっとだけ不安定な具合。それでもその時心は繋がっている。
貴方とくっついている時間だよ。
「好きな時間」
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