8/21~8/31
21日
才能があったって良いことがない。俺は昔から周りに期待ばかりされ、いつも「失敗出来ない」という重枷に悩んできた。やるしかない。文字通り死物狂いでやらないと、才能があるのに、と言われる。他のことなんぞやらせてもらえない。
俺はこんなに苦しいのに、才能のないお前は言う。「贅沢だ」と。
「ないものねだり」
22日
暗闇だった俺の世界に、貴方が土足で踏み込んできた。
その人は、強引が人間になって歩いているようだった。ずっと自分の殻に閉じこもっていた俺を、否応無しに引き上げてきた。
外に出て見た光。それは、ずっと俺を焼き焦がすものだと思っていたんだ。でも違う。それは俺を、照らすものだったんだな。
「光あれ」
23日
貴方のために生きたいのです。
貴方の血肉のように生きていきたいのです。
貴方にとって私が必要不可欠なものになってしまえばいいのです。
貴方にとって私はいないと生きていけないものになってしまえばいいのです。
貴方の中に当たり前のように鎮座していたいのです。
貴方がそう望んでいなくとも。
「私はそうなりたい」
24日
知ってるよ、君は僕を見ていない。君の気持ちは僕から離れている。君は僕に「愛してる」って言ってくれるね。でもいいんだよ。もう無理しなくていいんだよ。僕のことなんて、屑籠に放り込むようにポイッと捨てて頂戴。最後まで優しくしないで。好きと思わせないで。最後くらい、君を嫌いにならせてよ。
「さようなら」
25日
好きな人がいた。でも私の思いを伝えるだなんて無理。
貴方はいつも、同じくキラキラ輝いた人たちと仲良く話しているの。私が入る隙間なんてない。
でも今日の私は少し違った。思い切って、あの人の会話の輪に飛び込んでみるの!
『あの』
すると、その人から返事が。
『割り込みリプはご遠慮下さい』
「SNSのマナー」
26日
皆と違う。それが理由だった。私は一人ぼっち。誰かが私を可哀想だと囁くけど、誰も助けてはくれない。
でもいいの。きっと一人でも生きていける。大丈夫。私は一人でも大丈夫。
石を投げる人、それを笑う人、遠巻きに私を見つめる人。その真ん中を歩いていけ。
一人を怖がらぬよう、泣かないように。
「一人征く、茨の道」
27日
夜の帳の背に隠れる。貴方は見つけてくれるかしら?
まあ、貴方ったら浮気症。あんなに私のことを好きだと言ってくれたのに、今は別のやつを好きだなんて言って。そいつは私のお陰で輝けているのに。もう隠れんぼどころじゃないわね。私は夜の帳から顔を出した。
今日もいい天気。お洗濯日和ですね。
「太陽の嫉妬」
28日
貴方一人だけを愛していた。他の人なんて目じゃなかったわ。
でも残酷なくらい優しい貴方は、私の愛を信じてはくれなかったね。「君にはもっと相応しい人がいる」。それが貴方の口癖だった。
だから私、浮気をしてやったの。あんなに愛してるって言ったじゃないかって?信じなかったのは貴方でしょう?
「すれ違い」
29日
誰も持っていないものが欲しかった。
持っていたら凄いと言われるようなものが欲しかった。
だから何でも奪い取った。あの宝石も、人も、土地も、星だって。俺にかかれば何だって手に入る。
でもどうしてか、心は満たされないんだ。俺は全て手に入れたはずなのに。
何が足りないんだ。手に入れないと。
「求める」
30日
人と話すのは、少し難しい。
この話はもう、貴方としていたっけ。突然話しかけて、変な顔をされないかな。きちんと笑って話さないと。意識すればするほど、それは重荷になっていく。
しかし、えいっ、と一歩足を踏み出せば。案外楽しく話せたりする。
難しいし、不安だけど、やっぱり話すのは楽しい。
「広がる輪」
31日
何度も夏を満喫した。何度も肌を黒くして、宿題は真っ白のまま。どうせ繰り返すから。
でも途中で気づいたんだ。夏は短いからいいんだって。あんまり長いと、夏も退屈なんだ。
だからお願い、次の季節をちょうだい!もう夏はまっぴらだ!
今日も神社に祈りに行く。明日は九月一日でありますように。
「八月三十一日」
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