6/11〜6/20

11日


僕は君が大好き!つい君の頬にキスをしてしまうよ。すると君は少しくすぐったそうに笑うんだ。そして僕に大好きだよ、と言葉をくれる。


君が出かける準備をしている。一緒にお出かけかな?それにしても、ヒラヒラした服だ。

「ごめんねポチ、お散歩じゃないんだ」

君はそう言って僕の頭を撫でた。


「散歩じゃなくてデートなの」




12日


わかっているんだ。悪いのは私じゃない。なのに私は人の顔色ばかり伺ってしまう。

「私のせいで怒ってる?」「何とか場を和ませなくちゃ」「どうか笑って」

そんな風に昔からやってきた。これが正しいと思ってる。だって皆楽しく笑ってる方が、幸せだもの。

幸せ、の、はず。だよね?


「不幸なのは誰?」




13日


もし貴方がこの手を取ってくれるのなら。

俺はどこまでも貴方を連れて行くのに。

いや、正確には、貴方は俺の手を握って。それでも、ここに居ようよ、と笑っているんだ。だから俺も、それに従う。それが貴方の願いならば。

でも俺は、貴方を悲惨な運命から連れ出す、そんな王子様になりたかったよ。


「王子様」




14日


全人類が幸せになればいいのに、と常々思う。

どうしてこの世には悲しみがあるのだろう。どうして人生には別れが付き物なのだろう。

「それは人間にとって必要なものだからだよ」なんて事を誰かがほざく。そんなの綺麗事だよ。

私たちは、幸せになることから逃げちゃいけないんだ。


「幸せの追求」




15日


私が電車に乗る瞬間、降りる人とすれ違う。

その時ふと思った。私はこの駅に何も無いと思っているけど、この人はこの駅のその先に、目的地があるのだ。

きっと私の知らない、素敵な物語を、この人は持っている。

電車に乗るこの瞬間私は様々な人の物語に、ちょっとだけ触れている。

ちょっと素敵だな。


「物語の交差する時間」




16日


君に言いたいことがあったはずなんだ。

でもさ、いざ君を前にすると言えないよ。ずっと僕の傍に居てくれた君に、恥ずかしくてなかなか言えないんだ。頭がぐっちゃぐちゃになっちゃう。

でもわかってるよ。言いたいことは、とっても単純。

言うからね?言っちゃうからね?笑わないで聞いてよ?


「単純な言葉」




17日


幸せになりたい。

その言葉はもはや口癖だった。

歩きながら、人と話しながら、SNSをしながら。

心の中で何度も唱える。時には直接口に出す。友人だって共感してくれる。それはまるで呪いの言葉だった。

ある日、誰かが言った。「幸せになりたいって言うよりさ。幸せになるって言った方が良くない?」


「幸せになる」




18日


心の奥が、ぎゅ、って、どうしても押しつぶされそうだった。

暗闇で私は一人。行き交う人は皆私のことなんてどうでも良くて。私はどこに行けばいいかわからない。

そんな時、眩しい光を見た。それを追いかけるように私は歩く。工事中の駅。この人工の光が、私を導いてくれた。何とか帰れそうだ。


「東京の駅、人工の光」




19日


あーあ、と呟く。豪雨。なのに自分だけ傘を差していない。そもそも傘を持っていない。それどころか何も持っていない。

当たり前だ。家を飛び出してきたのだから。

きっかけは些細な喧嘩だった。それでキレて、家を飛び出して、馬鹿みたい。


その時、雨が突然止んだ。振り返ると、傘を差した君が笑う。


「umbrella」




20日


人生で初めてのキスだと言ったら、貴方を初め、皆笑うだろうか。でも初めてなんだ、緊張するんだ、仕方がないだろう。

貴方に似合うように、美人に見えるようにと、付けた口紅が今更気になってくる。キスをしたら、貴方の唇に同じ色が付く。こういう時、先に落としておくのが正解かな。


「ファーストキスの苦悩」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る