第7話

 左手を五針か。ショックだし、こわかっただろう。改めて確かめた記録はたった数行、行き届かないのは今始まったことではない。学校はやんちゃな子達は注意深く分散させたが、それだけだ。どうしても、大人しい生徒達に我慢をさせてしまう。私もずっとそちら側にいたから、気持ちは分かる。母はいつも「お兄ちゃんのことで大変なんだから、あなたは手をかけさせないでよ」と、念を押すように言った。荒れた兄に仕返ししたいとは思っても、助けたいなんて少しも思えなかった。


「林間学校の写真、できてますよ」

 突然机へ置かれたダンボールに、あわててファイルを閉じる。

「三組がすんだら適当に回してください」

 すぐに去って行く安川を見送り、ダンボールをのぞいた。

 三組の注文封筒を取り出し、なんとなく愛海のものを選ぶ。見つけた一枚を手に、注文された写真を探した。

「『Kの26番』、と」

 最後に引っ張り出した茶封筒は、特別薄っぺらい。おそらくは本人だけの、と取り出した一枚に、固まった。

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