-20- 見返り

「おばあちゃん、何か手伝うことある?」

「じゃあ、雑草取ってもらおうかな。琴ちゃん、いつも畑の手伝いしてくれて、ありがたいねえ。お礼に、夕ご飯、琴ちゃんの分を多めにしておくからね。」

「やったー!」

勇気とケンちゃん、ざまあみろ。ろくに手伝いもしないから、私だけここの超絶美味しいご飯をたくさん食べることができるのだ、わはは。


植物に触れると、自然とつながっている気がして、不思議な心地良い気分になる。そういえば、私の家にサボテンとコーヒーの木を置いてきているんだった。

サボテンも、コーヒーの木も、一週間にいっぺん水をあげるだけで育つ、楽な植物なので心配はない。でも、ふと、みんなのことを思い出した。

みんなのサボテンは、どうなっているのかな。枯らしていないかな。

礼央はどんな夏休みを送っているんだろう。LINEしてみるか。


「礼央、サボテン、元気?」


畑のお手伝いをした後、ジュースを飲みながら礼央にLINEをした。

しばらくすると、

「僕じゃなくてサボテンかいっ(笑)。元気だよー。トゲもピンピンしてる。」

「琴葉ちゃんは元気にしてる?」

「元気だよー。今、じーちゃんばーちゃんちにいる。」

「楽しんでね。帰って来たら、また、遊ばない?」

礼央は、意外に積極的だ。

「オッケー。楽しみにしてる!」


「ケンちゃんと勇気、まだカードゲームしてたの。」

「面白いよ。ねーちゃんもやればいいのに。」

「結構です。それより人生ゲームやろうよ。」

「いいね!やろう!」

中学1年生の弟と、同い年で高校1年生の私とケンちゃんは、いくつになっても、子供のように遊ぶ。

「はい、ゴール!」

「琴葉、ズルしただろ!」

「してませんー。」


へっへっへ。ざまあみろ。


「みんなー。夕ご飯よー。」

おばあちゃん特製の、山菜定食。疲れた身体に染み渡る〜。

私のご飯だけ少し多めなのは、私とおばあちゃんの秘密。はっはっは。

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