-13- 練習期間

球技大会の練習期間は、残り一週間。クラスメイトの力もあり、私は、少しずつバレーボールの腕を上げてきていた。私はクラスメイトに、

「なんで、補欠の私を練習に入れてくれてるの?」

と、さりげなく聞いてみた。

「あれ?琴葉ちゃんに言ってなかったっけ。琴葉ちゃん、補欠じゃなくなったんだよ。」

「…今、なんと?」

「補欠のメンバーが、ちょっと試合に出られなくなっちゃって。」

「なんですと!」

「だから、みんなで、頑張ろ。」

…そういうことでしたか。

「琴葉ちゃんもだいぶ上手くなったし、今日は練習試合の予定を組んでるから。」

…え。


「よろしくお願いしまーす。」

高二のチームが、現れた。ちなみに、球技大会は、女子チームと男子チームに分かれていて、別々に試合を行う。

「みんな、高二だよ?絶対、負けるよ?」

「でも、練習しないと、上手くならないよ。」

確かに。


私は緊張のあまり、後ろに後ずさった。すかさず、チームメイトが後ろから私の肩を押さえる。ちなみに、秋奈は、バイトで練習になかなか出られない割に、私とは違う、選抜チームに入っている。


「よろしくお願いしまーす。」

横一列に並んで、お辞儀をする。


試合の結果は、ボロボロ…と思ったが、意外に健闘した。負けたけどね。そういえば、この高校は、進学校だった。そうか、私は、自分を過小評価していたのかもしれない。そんなことはないか。

噂によると、高三の先輩方は、大学受験のため、あまり練習が出来ていないらしい。よしっ。


そして、いよいよ、球技大会の初日。ただ、私はすっかり忘れていた。礼央と付き合っていることを。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る