-4- 駄菓子屋来たよー!

「おばちゃーん。来たよー!」


「あら、いらっしゃい。たくさん連れて来たねえ。」


ここの駄菓子屋さんは、私が幼稚園の頃から、親に連れられて通っていた。私の高校は、うちの地元にあるのだ。なぜか泣き止まなかったり、耳鼻科を頑張った時など、連れて行ってくれた。今でも、色々話を聞いて欲しい時には、自然に駄菓子屋に足が伸びる。

駄菓子屋は、いつも楽しい。私は水あめが好き。割りばしでぐるぐる混ぜて、みょーんと伸ばす。この不健康そうな着色も気に入っている。気付くと、私の水あめを見る礼央の目が輝いている。

「礼央、水あめ、何色にする?」

「水色!」

「おけ。おばちゃん、これと酢イカ二本ちょうだい。」

酢イカは、大きなフタつきのトレイに入っている。水あめと酢イカ一本を礼央に渡す。

「イカ、すっぱ!」

「あはは。そう言うと思った。」

「今の私達のやりとり、ちょっと恋人っぽくない?」

「そんなことばっかり言ってると、琴葉と関わった人みんな琴葉の架空の恋人になっちゃうよ。」

と、秋奈。ぐう、確かに。


「秋奈も、彼氏さんに何か買って行きなよ。」

「なんか、おすすめある?」

「このくじ引きなんだけど、小さい頃にお菓子の詰め合わせの大袋当てたことある。」

「琴葉ちゃん、それ、確率かなり低いやつじゃない。」

と、礼央。

「確率低いから燃えるんじゃねえか。私、やってみる!」

秋奈にはギャンブル癖があることが発覚した。

結果は…スーパーボウル一個。秋奈は青にラメの入ったものをもらっていた。


「咲人くん、大丈夫?つまらない?」

「え?」

「いや、さっきから静かだから。」

「いや、実は俺も駄菓子屋初めてで。ちょっとびっくりしてた。」

「おばちゃん、駄菓子屋広めたよー!」

「ありがたいねえ。でも、琴ちゃんがお友達連れて来たの初めてだから、おばちゃんも嬉しい。」

確かに。なんかみんな優しすぎないか。私の強引なペースに程よい距離を置きながら付き合ってくれるし。

「みんな、ありがとう!」

「どうしたの、急に。」

秋奈が言った。

「僕も、中学は結構勉強ばっかりしてたから、こういうわいわいした雰囲気は久しぶりで、なんか、こちらこそ、ありがとうだよ。」

と、礼央。

秋奈も、礼央も、咲人くんも、みんないい笑顔をしていた。

それにしても、咲人くんって、意外とおとなしいのねー!

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