理由

 「さぁ、着いたわよ。ここがあなたの家でしょ?」カヤは僕の家を眺めながらそう言う。「どうして僕の家を?」僕は何故彼女が、この家を知っているのか疑問に思った。


「そりゃ、知っているわよ。だって昔来たことがあるんだから。じゃ、行きましょ。」カヤは理由を説明すると、そのまま家へ入っていった。「そうなのか…?」僕は彼女と歩調を合わせる中、一人疑問に思う。そして僕達は家の中に入っていった。


それから僕は一時間ソファで横になり、心身を回復させた。その間、カヤは隣で出来る限りの看護をしてくれた。「ありがとう、カヤ。おかげで元気になった。」僕はカヤに感謝の意を示した。「別にいいのよ。」カヤは謙虚にその感謝を受け取った。


「そしていきなりなんだが、どうして僕の家を知っていたんだ?後、父は何故殺されたのか。そして研究していた超能力のことも何か知らないか?」僕は彼女に対し、聞きたいことを羅列させた。「分かったわ。今から話すから落ち着いて。」カヤはまるで子を大人しくさせる親のように、落ちかせようとする。そして向かい側のソファに座った後、話しだした。


「まずは何故ここを知っているか。それは私があなたの父、ミカイド博士の助手をしていたから。だからここにも来たことあるの。次に博士の死だけれど。正直分からないの。ケンドが何故殺したのか。本人に聞けば分かる顔知れないけれど…。」カヤは言葉を濁した。僕は内心がっかりした。しかし分からなければ仕方が無いだろうとも思った。カヤは話を続ける。


「そして超能力のことだけど、それは簡単に言うと超能力は人間の奥底に秘めた力。それを開放して戦うのが超能力者なの。ほらさっき見たでしょ。」「なるほど、そう言うことか。それでカヤがさっき親指を曲げていたのは何なんだ?それに能力にも種類があるのか?」僕は新たな疑問がわき出で、それを吐き出した。


「能力を発動するためよ。そして使わない時はまた親指を曲げるの。そうしないと体に負荷がかかって、最悪死んでしまうの。だから使うにはああいう事をしないといけないの。次に能力は様々な種類がある。例えば私の能力は空気を様々な形に変える能力。そして敵対したカールは風を操る能力。他にも様々あるんだろうけど、まだちゃんと解明されていないの。」カヤは一旦そこで話を終えた。僕は彼女の一連の話き、納得できた。


「それにしても、あなたに能力があったなんて知らなかったわ。」「僕もだよ。まさかあんな高速移動じみたことが出来るなんて…。」僕は両手を組みながら、ボソボソと呟いた。


「それに親指も曲げずに能力も発動出来て…。これは初めての事例ね。それで体は大丈夫?」「大丈夫だ。さっき話したように、死んでいもいない。でも発動した時、いきなり体が痛くなった。けれど今は別に大丈夫だ。」「そうね…。まぁ、そう言うんだから大丈夫でしょ。それでいきなりなんだけれど、私の方からも聞きたいことがあるんだ。」カヤはいきなり話を変え、僕に聞いてい来た。「それって?」僕はカヤが言いたいことを聞こうとする。


「鍵よ。分かるかな?銅で出来た鍵。」「見たことないな。それでその鍵は何なんだ?」「開かずの扉に必要な鍵。まぁ、研究所にある博士の部屋に入るための鍵ね。生前、大切に所持していたの。もしかしたらこの家あるのかもってね。」カヤ辺りを念入りに見渡す。


「なるほど。それじゃ、もしかしたら父の部屋にあるのかもしれない。」僕は思い当たる節のある言い方をした。本当は何も知らないが。


「それじゃ一回、博士の部屋に行っていましょうか。」カヤは率先するかのように、リビングを出ていく。僕ははちゃらけた彼女の後を追い、リビングを出ていった。


 そうして僕達はリビングのすぐそこにある階段を上り、二階にある父親の部屋に入った。そこには両壁に設置された本棚。その中には難しそうな本が綺麗に並べられている。その中央に木材で出来た、幅一メートルある机が置いてあった。


 僕達はその部屋を、まるで空き巣のよう当たり障り物色し始めた。「ん、これじゃないか?」僕は机の2段目にある抽斗から鍵を見つける。それはカヤの言っていたのとそっくりだった。それを手のひらに乗せ、彼女に見せる。カヤはそれ手に取り、まじまじとまるで鑑定士のように見ていた。そして数分見た後、目をパッと見て開いてこう言った。「そう。これよ、これ!」


「そうなのか!それは良かった。」僕無事見つかり、安心した。「じゃ見つかったことだし、明日行きましょうか、研究所に。」カヤは僕の方を向き、唐突に言い出した。


「研究所に?それっと何処にあるんだ。」「町はずれの雑木林よ。」「あそこにか!でもどうして…。」僕は首を傾げる。「理由はただ一つ。そこであるファイルを取ってくるの。名前は超能力活性剤についての資料よ。」「超能力活性剤?なんだそれ。」「とても危険なものよ。内容は長いから省くけど、もしそのファイルがケンドの手に渡ってしまうと大変なことが起こるの。だがらその前に、それを見つける。」カヤは真剣な口調でそう語り明かした。僕は固唾を飲みながら、その話に耳を傾けた。


「それじゃ、そう言うことだからもう寝ましょうか。明日のために。あっ、でも寝る前にシャワー浴びていいかしら?」カヤは真剣な話から一変、意気揚々とした口調に変わった。「あぁ、別にいいよ。その間に寝る所を準備しとくから。」僕は余りの変化に困惑しながらも、そう返事した。そうして僕は2階の寝室で就寝の準備を始めた。カヤはそのままシャワーを浴びに行く。


 それから二人は自分の用が終わると、布団へ入った。そして部屋を暗くし、僕達は目をつぶる。だが僕は目を瞑る前、心の中でこう思った。「まさかこんなことになるなんて…。これからどうなるんだろう。」僕は、期待と不安が交互に混ざり合い、混沌としている気持ちに興奮した。それから数分この興奮は続き、それからは徐々に収まっていった…。


 
















































  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る