【第二章】用語・おまけ・キャラクター紹介

『用語・おまけ紹介』

【ルリイノリ】

 青みがかった黒色の体表が美しいイノリの進化系。体長はおよそ10センチ。イノリ自体弱い種であり、生き残る個体が少ないために少しばかり珍しい魔物。水魔法を得意とするが、基礎能力が低いために弱いことに変わりは無い。しかし、鱗が発達した事で乾燥にある程度強くなっており、陸上での長時間の活動も可能である。


【水竜イリノア】

 水辺に生息している小型の竜。体長はおよそ40センチ。ルリイノリの進化系として知られており、元となる魔物の弱さもあって大変な希少種。美しく輝く鱗は宝石にも例えられ、装飾品の材料として重宝される。しかし、素材が高値で取り引きされるがゆえに乱獲され、絶滅が危惧されている。


【ハナビカゲリ】

 冒険者酒場二階の宿にて提供された食事に使われていた白身魚の正体。魚の魔物。体長はおよそ50センチ。この港町『チェアーノ』の近海に生息しており、群れを成して泳いでいる。激しく明滅する光に集まってくる習性があり、ハナビカゲリ漁では炎魔法による花火が使用される。ハナビカゲリという名は、花火の元に集まってくる彼らによって黒々とした大きな影が出来上がる様子から付けられた名である。


【カウラドブル】

 冒険者酒場二階の宿にて提供された食事にあったローストビーフの正体。二足歩行する牛の魔物。体長はおよそ2メートル。縄張り意識が強く、大変攻撃的。繁殖期に入るとオスは特に凶暴になり、同種のメス以外を見つけると縄張りの外にいかない限り死ぬまで追い掛けてくる。しかし、そうした凶暴性から討伐依頼の対象にされる事も多く、冒険者達のよい稼ぎ相手になっている。


【ペルセポニカ】

 主人公が『イノリ』として生きていた頃、よく食べていたミジンコによく似た生き物。体長は大きいものでも約2ミリと大変小さいが、これもれっきとした魔物の一種。高い繁殖スピードにより大量発生するが、同時に大量に食べられる。しかし、ごく稀に進化をしていく個体もおり、奇跡的に何回もの進化を成功させた個体は強い魔物になる。


【シマスジカバネ】

 主人公が『イノリ』だった頃に食べていたボウフラのような姿の魔物。幼虫の体長は約4ミリ。成虫の見た目はほぼ蚊。成虫は地上で生活するが、水辺に産卵されて幼虫時代を水中で過ごす。肉食であり、成虫は魔物の体液を主に食べている。成虫は赤と黒の毒々しい縞模様をしており、魔物の死体に群がってきてその体液を吸い尽くす森の掃除屋。


【ダムランダ】

 この世界において広く家畜として飼われている鳥の魔物。肉が大変美味。体長は約60センチ。一日のほとんどを樹上でじっとして過ごし、動くときも近くの木の葉を食べるだけという大変省エネな生活をしている。農場ではそうした生態を利用し、建物の中に木を模した台を立てる事で彼らのストレスの低減を行いつつ、彼らの前に栄養豊富な餌を用意することで丸々と太らせている。



【人語を解する魔物】

 ある程度まで進化した魔物の中には、高い知能を持ち人語を解するほどの魔物も存在している。しかし、人語を解するからといって不用意に近付いてはならない。なぜなら言葉は理解できたとしても、彼等が人間と同じ感性を持っているとは限らないからだ。


【魔法】

 体内の魔力を具現化し、操るすべ。自身の体内にある魔力を全身に行き渡らせた状態で用途に対応した魔法陣を作り、呪文を唱える事で使用できる。

 基本属性として『炎』『水』『雷』『風』『土』『闇』『光』の7属性がある。その他、属性を持たない特殊な魔法も存在し、これらの難易度はその魔法によってそれぞれ差がある。


【冒険者】

 俗に言う『なんでも屋』。冒険者組合が管理・運営を行っており、冒険者たちは組合を通して募集された依頼を受けて日銭を稼いでいる。冒険者の登録や依頼の受注は冒険者組合が運営している各地の冒険者酒場で行え、これらの施設では食事や宿泊も行える。受注できる依頼を明確にする為に冒険者は等級がつけられており、より大きな依頼を受けるために高い等級を目指している冒険者も多い。それなりの等級になれば稼ぎもかなり良くなる為、比較的人気のある職業。


【盗賊】

 この世界における、ならず者の総称。徒党を組んで町の外で生活し、旅人や馬車、小規模な村を襲って略奪を繰り返す事で生きている。強盗・殺人・誘拐・強姦など好き勝手に生きるためなら何でもする。そのため、彼らは基本的に人としては扱われず、魔物と同様に殺害しても罪に問われる事はなく、それどころか冒険者の討伐対象として依頼にのることすらある。


【魔導結晶】

 ラバルトが持っていた結晶。見た目は色とりどりの水晶のようだが、れっきとした人工的な道具である。内部に魔法陣が書き込まれており、魔力を流し込むだけで魔法の発動が行える優れもの。あまりにも複雑な魔法は使えないが、自分があまり得意ではない魔法も簡単に使える事から、冒険者に限らず広く使用されている。


【イモ】

 異世界にだってこちら側と同じような食べ物はある。イモもその中のひとつ。サツマイモ、じゃが芋、里芋、長芋など、細かいところは違えど同じような芋が栽培されている。こうした農場の管理も魔法を使って短時間で行っている為、少ない人数で大規模になりやすい。


【獣人族(スロゥプ)】

 この世界における人種の一つ。身体の一部分に魔物のような特徴を持ち、その特徴も一人一人様々。身体能力に優れ、魔力による強化無しでも魔力による身体能力強化を行った基人族と互角に渡り合えるほど。しかし一方で魔力には乏しく、魔法の扱いに長けた獣人族は貴重。人間でありながら魔物に近い性質を持つせいか、魔物と心を通わせられる者が多い事も特徴の一つ。


【森人族(エルフ)】

 不老長寿で、基本的に魔法の扱いに長けた種族。基人族の寿命が長くても80程度だとして、森人族は500まで生きる。森人族は住んでいる地域によって更に細かく種族が分かれている人種でもあり、主な種族としてはフランクラッド王国の『樹海の民』、遥か北の大地の『樹氷の民』、央海の群島に住む『紅樹の民』などが存在しており、それぞれ身体的特徴に違いがある。


【聖堂騎士団】

 マギステア聖国を治めている中央教会直属の武装組織。一人一人の強さは冒険者基準でも最低で銀以上と高い水準。マギステア聖国内の治安の維持を行っており、犯罪組織の検挙や討伐を担っている。しかし、同時にマギステア聖国の国教である『マギ』の教えに忠実であり、その為マギステア聖国内に入ってきた亜人の殺害も行っている為、国内外の亜人からは恐怖の対象になっている。



『キャラクター紹介』

【セシル】

 主人公。元々はイノリという弱い魔物だったが、今は水竜イリノアという竜の魔物へと進化した。故郷のフランクラッド王国のどこかの村からマギステア聖国の森にまで流されてきてしまい、凄腕の冒険者であるニニィに助けられながら故郷の村を目指して旅をしている。聖堂騎士団の男にその存在を警戒されているようだが……



【ニニィ・エレオノーラ】

 ヒロイン。齢200歳を超えてなお若々しさを保ち続ける謎の美女であり、『ヒヒイロカネ』等級の凄腕の冒険者。白く透き通るような肌と烏の濡羽色の髪、ガーネットのような瞳が特徴的。過去にとある事件を起こし、それによって呪いを受けた結果、永久の命を望まずに手に入れてしまった。それ故周囲から疎まれる事も多く、人付き合いも苦手。どうやら『長い黒髪を一つ結びにした男』を探しているらしい。魔物の身でありながら中身が人間であるというセシルを気に入り、可愛がっている。



【ラバルト・ヘルムート】

 準レギュラーなマッチョのおっさん。基本的に脳筋で、戦いは全力で楽しむタイプ。『金』等級の腕の良い冒険者。いつも背負っている巨大な大鉈を振り回し、立ち向かってくる敵を次々と真っ二つに斬り裂いてしまう。マギステア聖国の聖堂騎士団とは因縁があるようで、現在は敵対関係にあるようだ。



【獣人族の少女】

 聖堂騎士団に殺されそうになっていた獣人族の少女。狐のような耳をしており、黄金色の髪と瞳を持つ。ラバルトに偶然助けられ、その後再び聖堂騎士団に襲われていたところ、セシルに助けられた。何故かセシルの事を『かみさま』と呼び、初めて見たときからやけに懐いている。



【アルト・ギーソン】

 聖堂騎士団の騎士をしている男。能力値自体はラバルトに比べていくらか劣っているぐらいのレベルだが、戦闘経験が豊富らしく効率の良い立ち回りをする。セシルの事は最初こそ無警戒だったが、彼の部下とセシルが対面した瞬間にセシルを警戒し始めた。何かを知っているようであり、セシルの事を『神になる存在である』と思っている。




※登場する魔物の進化チャートは第三章終了後に投稿します

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