5年後の真実
夏合宿から5年ほど経ったある日、高校の同窓会のハガキが届いた。
「亮、高校の時の同窓会の案内きてるけど、参加する? 」
あの夏合宿から私と亮はつきあい続けている。
もう婚約していて半年後には結婚する予定だ。
「暫くみんなに会ってないからみんなの顔でも見てくるか? 」
「分かった。二人とも参加で連絡しとくね。」
ちなみに葵と修は去年結婚した。
二人とも幸せそうな顔してた。
たまにSNSに写真載せてるけど、羨ましくなる写真ばかりだ。
あれから5年が経つのか・・・
みんなどうしてるだろう?
同窓会当日、私は亮と二人並んで参加した。
「茜ちゃん、亮と婚約したんだって? おめでとう。」
来ていたみんなに祝福の言葉をもらってなんだか恥ずかしい。
「夏合宿の時の都市伝説は本当だったんだな? 」
「そうね、そうかもしれないね? 」
懐かしい話しで盛り上がり、楽しいひと時を過ごしていると葵から声をかけられた。
「ねぇ、あっちで二人だけで話し出来ないかな? 」
葵が神妙な顔して話しかけてきたから何事かと思ったが・・・
「ウン、いいよ~。あっち行こ! 」
葵と二人っきりで窓際のベンチに座ると葵は話し出した。
「茜には謝っておかなければいけない事があるの! 」
「えッなぁに? べつに葵ちゃんに何かされた覚えは無いけど・・・」
「5年前の夏合宿の事なんだけど・・・」
「ウン、なぁに?」
「実は私、あの時フォークダンスで私と修が最後に手を繋ぐ様に細工していたの! 」
「えッ? どういう事? 」
「実はダンス音楽の時間と私と修の位置を計算して最後に私の所に来る様に設定したの。まるでアナログ時計の長針と短針が重なる様にね! 」
「まさか、そんな事出来るの? もしかしてフォークダンスの時、私が葵ちゃんの前に入ろうとしたのを怒ってたのはそういう事? 」
「ウン、そうなんだ。ゴメンね。」
「でも、龍の神様が見守っていて願いを叶えてくれるんじゃないの? 」
「それも、私がつくった作りばなしよ。」
「えッ、ウソ? でも、二人とも結果的にはその作りばなしどおりになってるよね? 」
葵は目を細めて首を横に振った。
「違うの! 最初は茜が修の事を好きみたいだったから応援しようと思ったの。でも途中から私が修の事を好きに成っちゃて・・・」
「そうだったんた。言ってくれればいいのに! 」
「言える訳ないでしょ? 茜が修の事を好きなの知っててそんな事を・・・」
私も葵も俯いてしまった。
暫くして私は葵の目を見て話し出す。
「ねぇ葵ちゃん? 私は亮とつきあう様になって後悔した事なんて一度も無いよ! 亮は修ほどイケメンでも無いし器用でも無いけど、私の事を愛してそして分かろうと頑張ってる。」
「ウン。」
「だから、私も亮の事を愛して一生懸命分かろうとしてるんだ。亮は私の運命の人じゃないかと思えるくらいにね! 」
「そうなんだ~。茜は幸せそうだね? 」
「ウン幸せだよ。だから、葵は私に謝る必要なんて無いよ! 」
私は葵の目を見て微笑んだ。
「ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいよ。」
「ウン、気にしないで! 今度は私達の結婚式だから絶対に来てよ! 」
「ありがとう。その時は何か楽しめそうな企画考えるね? 」
「・・・えッ? 葵ちゃんまた何か企んでないでしょうね? 」
「企んでなんか無いよ! でも、此処での話しは絶対に夫にはナイショだからね! 」
「ウン、二人だけのヒ・ミ・ツだよ。」
「茜、幸せになってね! 」
「ウンありがとう。葵ちゃんもね! 」
葵の笑顔が私には忘れられない思い出に成った。
イジワルな瞬間 アオヤ @aoyashou
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