第22話 人族冒険者として使える蛮族PC

 先日発売された『バルバロスレイジ』は純蛮族環境を想定しているが、通常の人族冒険者のセッションで2.0初期みたいに蛮族PC使わせろと言われて戸惑ってるGMもいるのではないか? というわけで人族のPTに溶け込めそうな蛮族について考察してみる。


 人族に溶け込めるかどうかの基準は「NPCの反応」と「種族のメンタル」の2つである。見た目が人間離れしていて偽装できなかったり守りの剣に引っかかったりするとシナリオ進行に影響する。またウィークリングはメンタル面は人間に近いようだが魔剣ドレイクとなると血の気の濃さや上位蛮族という意識の強さもあって人族とわかりあえそうにない。PLが「こういうキャラだからプレイはしない」と誓うこと自体がスペックの高さしか見ていないマンチキンだという批判を免れない。


 あとNPCの信用が得られにくいというのがね。バルバロスレイジ104ページの地位表で名誉点使って信用得るしかない。あとサーチ・バルバロスが産廃になるけどライフォスの神聖魔法見せるとか(他の一剣の神は蛮族同士の戦いでセイクリッド系目当てで信仰されることがあるため当てにならない)。


 以下、人族冒険者として使えるかを種族ごとに検討していこうと思う。問題の少ない順番で。


・ダークドワーフ

 2.0では蛮族扱いだったが、2.5では「ドワーフ以外の人族はあまり気にしていない」記述があり普通に使用可能。


・ウィークリング

「蛮族社会での居場所がない」「メンタルが人族に近い」のでバルボロスレイジ以前からPCとして使用可能だった。ただNPCに受け入れてもらいにくく冒険者よりは放浪者になる傾向があるという。


・コボルド

 2.0最初のルールブックと同時発売のリプレイの時点で人族社会に逃げ出すケースが見られた。なので冒険者になれるかどうかはむしろ実力の問題だろう。


・バーバヤガー

 見た目で蛮族とバレることはまずなく、ババア化しなければ守りの剣にもひっかからないので使いやすい。


・ライカンスロープ(2.5未登場)

 変身しない限り見た目でバレることはまずないが、メンタルが蛮族寄りなのがややネックか。


・アルボル

 歴史的にドワーフを怨んでいるが、種族そのものが邪悪ではないので人族とわかりあうのは難しくないだろう。肌の目の模様が特徴的なので常に肌を隠している必要があるがそう怪しまれるものでもないだろう。


・ラルヴァ

 人族の母親に育てられる傾向がありメンタル的には問題ない。体格はともかく目や牙が特徴的なのでロールプレイ的にフードとかで極力隠す必要があるが。


・ドレイクブローク

 魔剣が無い分穢れが弱く、ベーテ氏のデビュー作『from USA』のアンセルムみたいに人族寄りの性格になりやすい。ただ角や翼が目立つのでフードやマントが必須で怪しまれると弱い。


・ラミア

 人族との付き合いが長い種族なのでメンタル的には問題ないが、人間の姿を長時間維持できないため宿で同じ部屋など匿ってもらえる協力者(もちろん仲間のPCでもよい)が必須になる。


・ケンタウロス

 独立性の高い種族で人族や蛮族という意識が薄いので人族の慣れ合うはぐれ者がいてもおかしくはない。だが見た目がアレでNPCに受け入れてもらえるかが問題(一応守りの剣はクリアできる)。PTにいたらいたでGMのシナリオに制約が出る。人間の国で英雄になってるケンタウロスも公式にいるけどね。



 ここまでの種族は人族とのプレイがなんとか可能と言える。しかしこれ以降の種族は設定的にも人族と組むのは苦労するし、PLが協力的でもGMがまとめるのに苦労するだろう。



・ドーン

 人族の街に潜入するのは容易だが、シャドウの対存在なのか蛮族を裏切らずスパイに従事してばかりなので冒険者にはしにくい。


・バルカン(2.5未登場)

 見た目が人間とかけ離れていて潜伏が難しい。人族と一緒に冒険する理由が公式に設定されちゃいるが限定的すぎてシナリオの幅が狭まる。人族だってこんな異形信用する? シナリオのテーマをあらかじめ決めて所謂ハンドアウトとして使わせるしかないのでは?


・ダークトロール

 デカすぎて蛮族なのを隠せない、穢れ4、よってシティアドベンチャー絶対無理、なんでこんなのを最初の蛮族PCとして実装したの? ストイックな性格のためあえて蛮族を敵に回す個体が存在するようだが、こんなのと一緒に行動する冒険者も冒険者である。冒険者と連絡が取れる=郊外にキャンプ張ってるわけで怪しいことこの上ないぞw


・バジリスク

 ゴーイングマイウェイな性格で(蛮族としての)協調性がないため、ドレイクやディアボロと比べるとまだ人族の味方をする理由がある。しかし人族からすれば邪眼なんて抜き身の剣よりも脅威でしかない。受け入れられるのは難しいだろう。


・ディアボロ

・ドレイク

 いかにも蛮族のボスといった性格で、高慢さもあって人族と慣れ合うようには見えない。あえて言うなら翼のあるドレイクよりも肌を隠せばなんとかなるディアボロの方がまだ人族の街に潜入しやすい。穢れ4がネックになるが、そこは黄泉還り冒険者を探して守りの剣の穴を教えてもらうしかない。


・リザードマン

 見た目で一発で蛮族とわかるしこれはちょっと…


・シザースコーピオン

 人間態になれないし、いくら何でも無理がある。人族に好意的な性格でもないし。



 どうしても人族と蛮族で一緒に冒険したいとおもったら手が無いわけではない。テラスティア大陸にはリンドレフト帝国という人族と蛮族が共存する国があり、実際に人蛮混合PTのリプレイが出ている。また人族PCと蛮族PCの導入を別々にやったうえで人族と蛮族が共闘しなければならない展開に持っていくシナリオも面白そうである。

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「ソード・ワールド2.5」について好き放題書いてみる 太田拓也 @takuya-ohta

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