第20話 ナイトメアの親種族による差異

『アーケインレリック』でナイトメアの親種族にソレイユとシャドウが追加されたが、出身種族によって人格形成に至るまでの環境が見事にバラバラである。データ上は弱点の違いしか無くても、ロールプレイ上はナイトメア各種は別物と思った方がよい。(もちろん種族の基準を外したロールプレイは公式リプレイでも禁じていないが)


 ナイトメアが出身種族によって変わってくるのは、主に「親種族とのスペックの差異」「母体の危険」の2点である。これを各種族ごとに考察していこうと思う。


【人間】

「リルドラケンやソレイユは母体の危険が無いから迫害されない」理屈だと、人間の大多数がナイトメアを忌避しているのを説明できない。ナイトメア自体のレアさ、死亡率100%というわけではないことを考慮すると、出産事故の関係者(故郷の村で○○の家の奥さんが死んだ)なんて少数派のはず。どちらかというとガンダムSEEDのコーディネイターのような高い能力への恐れが迫害へ向かわせてるのではないか?


 他種族のナイトメアは種族アイデンティティがそのまま弱点になるためシャドウでなくても評価が低くなる。しかし人間の場合最大の特徴[運命変転]はメタ以外では認識が難しく、人間からすればナイトメアは能力値の高さ・魔法制限の無視・不老と妬む要素満開である。そのナイトメアの力の源が蛮族と同じという知識があれば、そりゃマウントとって排斥するだろう。


 結果的に人間出身ナイトメアはパトリック(炭酸ではなくアスランの父)のような歪んだ優越感を持つようになるのではないか? 生まれがよい(貴族など)だと継承権を貰えずに性格が歪んで後年復讐や算奪に来る話も公式である(本人は不老なので身に覚えのない世代にとばっちりが…)。もっとも「代替わりが無いのはヤバい」とは理解できるだろうし、畏れられているという自覚があれば周囲に認められようとも思わず孤高になるのではないか。ナイトメアが「虐げられる少数派」なのに互助組織の話を聞かないのは「他人に興味を持たない」性格になりやすいからではと思われる。


【エルフ】

 水中適応の無さは漁村でない限りハンデになりにくい、弱点ダメージも幼少時は気にならない、一方身体能力のアドバンテージがあり(力仕事で頼られる)能力的な優劣は自覚しない。しかし母体の虚弱さから死亡率が若干高い、人間以上にムラ社会である事から(母が無事でも現実の双子やアルビノのように)忌み嫌われやすく人間出身寄りやや弱気の性格になると思われる。育ったコミュニティ内での相対比較から(エルフが苦手とする)ファイターになろうとするものが多いのでは?


 新米女神のソラの場合、家族外で「人間からの偏見」にさらされた反面母が無事だったため家族関係が良好(母と姉の近親憎悪が気になる程度)で妙にアンバランスな性格に。


【ドワーフ】

 周囲が炎完全無効なのに自分だけ炎が弱点という劣等感の塊。ドワーフはおおらかな性格なので人間やエルフと違って「気にしない」ようだが逆に(火傷などの)配慮もしてくれないとは某PCの談。なのでコミュニティを飛び出すことが多いのだが、育ちから自分に自信を持てない者が多く冒険者には意外と向いていないのではと思う。外の世界の存在は認識していても日頃ドワーフしか見てないと視野が狭くてどんな職業が向いてるか理解できない。グレンダール神官以外に魔法使いのコネも無いだろうし。人間の街に出て冒険者になるにせよ堅気になるにせよアイデンティティの確立→居場所を見つけるまで苦労するのではと思う。


【リルドラケン】

 何度も言ってるが、見た目が一番かけ離れているにもかかわらず親や周囲との対立が六種族中最小というのがおかしい。親集団が違和感なく受け入れるためナイトメア本人も「自分はリルドラケンだ」という意識が強く自分に見た目が似ている人間や他種族ナイトメアの異性に欲情しないらしい。


 しかしこのナチュラルな自意識は親集団を出た後にトラブルの原因になるとか。人前であっけらかんと異貌したりして。


【シャドウ】

 ムチャクチャ過酷な環境で育つのがシャドウ生まれのナイトメア。なにせシャドウの評価基準がことごとくナイトメアに不利。シャドウの生態的に[暗視]がなく精神抵抗のハンデは致命的、一方でナイトメアの最大の特徴である魔法適性はシャドウが魔法を恐れないため全く評価されない。劣等感の強さはドワーフメアをも上回る。身体能力だけは遜色ないのがせめてもの救い。


 マンガによくある「閉鎖的な暗殺集団」って機密保持の関係で才能がない子供でも外に出るのを禁じてるイメージがあるんで、ナイトメアが自分に向いてる生き方探すの大変そうだなと。足抜けして冒険者になったPCいたら襲われそう。


【ソレイユ】

 高い生命力とHP再生能力のため母体の危険は少ないのだが、またソレイユも「細かいことを気にしない」性格なのでコミュニティの中で差別されることもないのだが、そのガサツさが嫌でナイトメアの方から出ていく傾向にあるという。他種族のナイトメアほど過酷な過去がないため性格は歪んでないだろうが、ゲーム的には弱点が純エネルギー属性というのが痛すぎて使いにくい。



 以上、ナイトメアと一口に言っても強い劣等感を持つドワーフとシャドウ、劣等感の無い人間、性格の歪む経験のないリルドラとソレイユ、というように人格形成の面ではまるで別物であることがご理解いただけただろうか? むろんこれに縛られる必要はないが常に意識はしておくべきである。

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