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美月とファミレスを出てから、弓弦の家に向かった。

ちょっと緊張する。


「ちゃんと言えるかな?」


「少しでも思ってる事は伝えないと、咲真が分からないかも。」


「そうだよね……。」


気のせいか、普段よりも歩く速度が遅い気がする。

それでも、弓弦の家はどんどん近付いて来る。


「はぁ……。」


美月のため息が増える一方。

でもさっさと解決したい。


「着いたね。」


「うん。」


チャイムを鳴らそうとした時に、玄関のドアが開く。


「うわっ。

ビックリしたー。」


私はビックリして、心臓がドキっとした。


「あっ、ごめん。

部屋から見えたから。」


弓弦が出てきた。


「中に入って。」


言われるがまま、家に入る。

一階に咲真が居た。


「とりあえず適当に座って。」


そう言われると、座る場所に悩む。

美月は私の隣にくっついて座った。


「……。」


沈黙が続く。


「咲真、言ったらどうだ?」


弓弦が言うと、咲真が話し始めた。


「あのさ。」


「うん。」


咲真も美月も言いづらそうだけど、私も弓弦も様子を見ていた。


「俺は、もっと……アレしたいっつうか。」


「アレ?」


「アレだよ……。」


アレが何だか分からない。


「エッチな事だろ。」


弓弦がすかさずフォローする。


「そうだな……。

でも小遣いが足りないって言うか……。」


咲真が急にお小遣いの話を始めた。


「え?

お小遣い?」


「うん。

ホテル行ったりとかさ。」


「あぁ……。」


「行かなくても、ゴム買うじゃん?」


「うん……。」


「俺の小遣い少なくて、漫画も買えないな……とかな。」


「漫画欲しいんだ。」


「うん。」


「私とシたくないわけじゃないよね?」


「シたいに決まってるだろ!」


「そっか。」


美月は笑い始めた。

思わず私も笑った。


「何で笑ってるんだよ?」


「シたくないのかと思った。」


「そんなわけないだろう。」


「そっか。」


美月も咲真も恥ずかしそうに笑っている。

すると、


「しょうがないな。

一箱あげるから、使いきるまでに、二人で話し合えよ。」


弓弦が咲真に小さな箱を渡した。


「弓弦、何でゴム持ってるんだよ?

お前、もしかして……。」


「俺だって、もしもの準備くらいするからな?」


「そうなんだ?」


「俺だって、彼女出来たら抱きたいもん。」


「だよな。

本当にもらっていいのか?」


「いいよ。」


「本当助かる!

つけないわけに行かないからな!」


「養えない内は、ちゃんとした方がいいぜ?」


「だよな。

ちゃんと二人で話すよ。

ありがとう。」


咲真が嬉しそうに弓弦と話している。


「美月、送って行くから帰ろう。」


咲真が言うと、


「うん。」


美月は嬉しそうに返事をした。


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