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美月が恥ずかしそうに悩みを打ち明けてくれるのだけど。

私は経験が無いんだよ……。


「咲真と話し合ったの?」


「ううん。」


「ちゃんと話した方がいいよ?」


「そうだけど、言いづらいよね。

女子の方から、シたいとか。」


「でもさ、なんでやりたいかによるんじゃ……。」


「何でって、愛されてるーって気がするからだよ。」


「一緒にいるだけじゃダメ?」


「それに……。」


「ん?」


美月が何か言いづらそう。


「言いづらい?」


「気持ちいい……んだもん。」


「……。」


「ごめん、沙希にはまだ分からないよね?」


「分からないけどさ、美月はそう思ってるんでしょ?」


「うん。」


「またしたいなーってくらい良かったわけじゃん?」


「うん。」


「そのまま言えない?」


「うーん。」


そのまま言って、咲真の気持ちを聞けないかな?


「あのさ。」


「うん。」


「昨日、弓弦の家に咲真が行ったんだよね。」


「知ってる。」


「まだ居るかな?」


「え?」


「話してみない?」


「え?」


美月はキョトンとしている。


「弓弦と私が邪魔だったら、席を外すから。」


「……。」


美月は困ったような表情をしている。


「ごめん、やめようか?」


「いや、行くべきだよね。」


「え?」


「勢いが無いと言えない気がする。

一緒にいて、サポートして。」


「出来る事はするよ。」


「ありがとう!」


本当に何か出来る?って言われたら、何も出来ないかもしれないけど。

私は美月の支えになりたいと思った。


「ちょっと弓弦に連絡してくる。」


「うん。」


私は席を離れて、弓弦に電話をかけた。


「もしもし。」


「沙希、どうした?」


「咲真泊まった?」


「うん。」


「まだ居る?」


「うん。」


「美月と行っていい?」


「そうだな……。

いいよ。」


「じゃあ、行くね。」


弓弦と話したけど、いいよって言うまでの沈黙が気になった。

でも、今日を逃したら、こういう機会は作れないかもしれない。

席に戻った私は、


「行っていいって。」


美月にそう報告すると、


「じゃあ、もう一杯何か飲んでから行こう。」


美月がそう言うから、二人で飲み物をもう一杯ずつ飲む事にした。

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