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咲真の様子を見て、嫌な予感はしていたのだけど……。

キャンプが終わって、家に帰ってからすぐに、美月から電話が来た。


「もしもし。」


「あっ、沙希?

声、何か疲れてそうだけど……。」


「うん、キャンプで色々あったんだ。」


「そうそう、キャンプって咲真に聞いてたけど、どうしたの?」


どうしたもこうしたも、何から何まで話したらいいんだろう?


「あのさ。」


「うん。」


「付き合う事になった。」


「え?

もしかして……。」


「弓弦。」


「やっぱ、そうか。

おめでとう!」


「うん、ありがとう。」


おめでとうって言われると、恥ずかしくなるのは何でだろうな?


「そうか、沙希も彼氏持ちか。」


「そういう事になるのかな?」


「それで、うちの彼は高橋家に行くって言ってたのかな?」


「え?」


「行くって言ってたよ。

知らない?」


「あぁ、さっき言ってた。」


「何か急用で行くって言ってたよ?」


「男にしか分からない話かな?」


「そうなのかな?」


私は、美月と咲真の事についてを話すんだと思うけど。

それを言っていいか分からない。


「あのさ。」


「うん。」


「明日の午後って用事ある?」


「休みだから寝てようと思った。」


「デートしないの?」


「あぁ、そういう事してる場合じゃないでしょ?」


「え?」


怪我人と一緒に遊び回るのはどうかと思う……。


「あのね、キャンプで弓弦、怪我しちゃって。」


「薪でも割ったの?」


「ううん。

ナイフで刺されそうになったみたい。」


「えっ……。」


「詳しくは咲真にでも聞いて。

また近い内に会うでしょ?」


「うん……。」


ちょっと美月の声が暗くなった。


「美月、明日会おうか?」


「良いの?」


「いいよ。」


「じゃあ、駅前のファミレスでいい?」


「うん。」


「私、明日学校行くから、こっちに帰る時に連絡するね。」


「そっか。

分かった。」


「じゃあ、また明日。」


「うん、またね。」


美月との通話が終わった。

何だろう……胸騒ぎがする。

美月と咲真の間に何かあったのかな?

この事を弓弦と咲真に言った方がいいのかな?

でも会う理由が分からないなら言わなくていいかな?

どうしようか悩んでいたら、そのまま眠ってしまった……。

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