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一緒に三人で歩くのが久々に思える。


「俺、邪魔じゃない?」


咲真が言う。


「邪魔なわけないだろ。」


弓弦がボソっと言う。


「今まで通りでいいよ。」


私がそう言うと、弓弦は頷く。

弓弦は本当に咲真が居てもいいと思っていそうだ。


「って言うか、二人になりたい時はちゃんと言うからさ。

咲真も変に気を遣わなくていいって。」


弓弦がそう言うと、


「そっか。

うん、今まで通りでいいや。」


咲真がホッとしたような表情をしている。


「咲真だって、デートの時はちゃんと一緒に帰れないとか言うだろ?

それと一緒じゃん?」


弓弦がそう言うと、


「あっ、ヤバい。

俺、こっち着いたら連絡するんだった。」


咲真が慌てている。


「早く彼女に連絡しなさいよ。

会うの?」


私が笑いながら言うと、


「帰ってくる時間分からないから、約束はしていないよ。

ただ時間が合えば会いたいって言うかもな……。」


咲真はちょっと元気がないような、面倒くさいような表情をしている。

円満じゃないのかな?

聞いていいのかな?


「何だ?

上手く行ってないのか?」


弓弦が咲真に言う。

私は黙って聞いていよう。


「いや、上手く行ってないって言うか……。」


「ん?」


「ちょっとここで話せない。」


「じゃあ、俺ん家来るか?」


「うん。

一回、家に帰ってから行っていい?」


「いいよ。」


「じゃあ、とりあえず急いで荷物置いてくるわ。」


「またな!」


咲真は走って帰って行った。


「沙希も来たら?って言いたいけど、具合悪かったんだから、今日は帰って休んで。」


弓弦は私にそう言ったけど、私は行きたかった。

咲真の話が聞きたい。


「どうせ、何の話か知りたいんだろう?

また教えてやるから、休んでよ?」


弓弦は私の考えてる事はお見通し。

でも確かにちょっとダルいから、帰ろうかな。


「じゃあ、帰るね。」


「うん。

明日具合良かったら、連絡ちょうだい。」


「分かった。」


「じゃあ、またね。」


「うん、またね。」


私は家に帰る事にした。

気になってしょうがないけど……。

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