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バタバタしすぎて、夜中に落ち着く。


「えっと、何をどこまで話したっけ?」


「忘れた……。」


「だよね。

どうして、こう、色々続くかな?

漫画じゃあるまいし!」


「そうだね……。」


「これって、高橋君のせいだよね。」


「ごめん……。」


「何で沙希が謝るのよ?」


言われてみれば、全部が弓弦のせい。

そして、私が彼女になると言ったせいでもあるかもしれない。


「例のイトコさんには、ちゃんと言うの?」


「え?」


「彼が出来たって言わないの?」


「……。」


拓哉君に彼が出来たって言わないといけないのかな?


「散々好きってアピールしてたのにさ。

彼が出来たら、相手は喜ぶんでしょ?」


「それは分からない。

だって下手したら、親戚になるよ?」


「あぁ、そうか。

イトコさんにとっては、親戚になるかもしれない男か。」


今、結婚するわけでも無い。

だから心配いらない。

将来、別れるかもしれない。

でも、別れないかもしれない。


「もしかして、もう結婚考えてる?」


「ううん、考えてない。」


「だよね。」


考えてないけど、全くありえないと言えない。


「私もさ、彼が出来たとは言え、結婚するかは分からないもんね。」


「桜井君、良い旦那さんになりそうだよ?」


「今、そういうの分からないでしょ?」


「何か気配り上手だもん。」


「まぁ、そうだけど……。

でも自分に自信無いのよ。

今までも別れてしまったわけだし。」


「確かにね。

でも大丈夫な気がするな。」


「それ、予言?」


「うーん。

分からない。」


私は、料理をする真奈を見ていた桜井君の表情が忘れられない。

言葉にするなら『幸せ』かな?

自然と笑顔になるって言うのかな?

だから二人は続く気がした。

真奈はすぐ機嫌悪くなりそうだけど、上手く機嫌を直そうとしてくれそうだし。


「ねぇ、沙希。

何でニコニコしてるの?」


「え?」


自分で気付かない内に顔が微笑んでいたみたい。


「まぁいいか。

私、眠くなって来たよ。」


「じゃあ、寝ようか?」


「そうね。」


「おやすみ。」


「うん、おやすみ。」


私達は横になった。

真奈は私に背を向けている。

私はどうしたらいいか分からない。

とりあえず、上を向いて目を閉じてみよう。

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