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「さて、そろそろ寝ないとヤバいかな?」


「そうだね。」


私達は、そのまま寝ようとした。

その時、サイレンの音が小さく聞こえ始めた。


「あれ?

サイレンっぽい音がしない?」


「うっすら聞こえるね。」


私達は元気だし何もしていない。

関係ないや……と思う。


「何か、サイレンの音、近付いてない?」


「通りすぎるんじゃ?」


「そっか。

でもさっき人の声してなかった?」


「そう言えば……。」


「でも暗くて広いからね。

本当に近くないと分からないかも。」


私と真奈が話していると、どんどんサイレンの音が大きくなって来る。


「ねぇ、このキャンプ場に来たんじゃない?」


「そうかも……。」


気になる。

でも外に出ていいのか迷う。


「真奈ちゃん、沙希ちゃん、起きてる?」


テントの外から声がする。


「桜井君っぽい声だね?」


「そうだね。」


私達はテントから、外を覗く。


「あっ、起きてた!

良かった。」


やっぱり桜井君の声だった。

園田君も佐々木君も一緒にいる。


「あのさ。」


「うん。」


「一人いないんだよね……。」


「もしかして、堺君?」


「うん。

トイレ行くって帰って来なくて。

ここにいるわけないと思うけど……。」


「いないよ。

別に中を見てもらってもいいよ。」


「信じてるよ。

あまりにも帰って来ないから、心配でね。」


「どうしたんだろうね?」


桜井君と真奈が話している。


「さっき、サイレン鳴ってたの聞こえた?」


園田君が私に言う。


「うん。」


「戻ってこない人がいて、サイレンの音が聞こえるって、何か事件っぽくて、怖くって。」


「そうだよね。

さすがに堺君は強いみたいだから、大丈夫と思うけど、暗闇だもんね。」


「見えないって怖いよね。

ここまで来るのも怖かったよ。」


「そっか。」


ここまで来て偉いね……と言ってあげていいのか分からない。


「沙希ちゃん、アイツどこに行ったか分からない?」


桜井君に聞かれる。


「知らない。」


「そうか。

先生の所に言いに行った方が良いかな?」


「悩むね……。」


私達には答えは出せない。

でも事件とかだったら、早く知らせた方がいいのかな?


「皆、ここにいたのか。」


「あっ、先生!」


私達が話している所に担任が来た。


「こんな時間に何してる?」


担任はちょっと不機嫌そうに言う。


「堺君がいなくなったから、心配で。」


桜井君が答えた。


「そうか。

全員、ちょっと来てもらっていい?」


「はい。」


何故か全員、先生にどこかに連れて行かれる事になった。

ちょっと眠いんだけど……なんて言ってられない。









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