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「なーんか、同じクラスの人と付き合うって、大丈夫かな……って今更不安になって来た。」


真奈が頭を抱えている。


「同じクラスだと普段の様子も分かって良いんじゃない?」


「分かりすぎるのも不安になりそうじゃん?」


「そうかな?」


「友達と彼氏じゃ違うと思わない?

今まで、クラスの女子全員に優しくても、ただの良い人だったけどさ?」


「ただの良い人……。」


「だって意識してなかったんだもん。

ただの良い人でしか無かったよ。」


「そっか。」


「でも自分の彼氏が、皆に同じように優しくするってどう?」


どうって言われてもピンと来ない……。


「誰かと付き合った事ないから、あんまりピンと来ないかも?」


「あぁ……。

それもそうか、ごめん。」


「ううん、気にしないで。」


ピンと来る日が来たら語り合えるのかな?


「あれ?

外が騒がしくない?」


「確かに……。」


急にテントの外から人の声が聞こえ出す。

何を言ってるかは分からない。


「大事な事なら、言いに来るよね?」


「そうだね。

でも一応外を見てみる?」


「うん。」


私達はこっそり外を覗いてみた。

ちょっと離れた所を歩いてる人が見えたくらいだった。


「そういえばさ、全然眠くないんだけど。

寝ないとヤバいかな?」


「確かに眠くない。」


「絶対疲れてるはずなのに目が冴えてる。」


「だよねー。」


「普段、そういう時は何してる?」


「ゲーム。」


「アハハ、沙希らしい!」


「ゲームしないの?」


「雑誌読んだり、録画したヤツ観るかな?」


私はすぐゲームしちゃうけど、真奈は違うんだね。

こういう普段の事もあんまり話せていないんだなぁって思った。


「どういうの好きなの?」


「ファッション系とか?」


「ファッション?!」


「どんな服が流行ってるか気にならない?」


「全然気にならない……。」


私はファッションとか全く気にならない。


「似合うの沢山ありそうなのに。」


「親が買ってくれたのを適当に着てる。」


「もったいないなー。

そんな美人なのに。」


真奈は不満そうだ。


「真奈は私が変な服を着てたら、一緒に歩きたくない?」


「ううん。

似合う服を選んであげたくなるだけ。」


「え?」


「お人形に洋服着せて遊んだりしなかった?」


「しない。

ゲームばっかり。」


「ハハハ、そうかそうか。」


「イトコとゲームばかりしてた。」


「そうか、遊んでくれる人がいたらそうなるよね。

小さい頃から、そんなふうに遊んでくれたんでしょ?」


「うん。

教えてもらったりして楽しかった。」


拓哉君との楽しい記憶がいっぱいある。

付き合いたいとかじゃなく、やっぱり大好きだ。


「そういう楽しい事を彼氏とも出来たらいいね。」


「弓弦とゲームか……今までもしてたけど。」


「変わらず、やったらいいと思う。

そういう時間がお互いに好きなら良いことだよ。」


これからも、本当にゲームばかりしてくれるかな?


『もしかして、キスとか……。』


なんて、さすがに真奈には言えなかった。









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