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皆で食べるご飯。

真奈は何も言わない。


「美味いな。」


堺君がボソッと言う。

確かに美味しいけど、真奈の態度が気になる。


「真奈ちゃん、何か言ったら?」


佐々木君が言う。


「……。」


真奈は何も言わない。


「何か言えって言われてもなぁ。

気にしなくていいんじゃない?」


堺君がそう言うと、


「いや、何か言った方がいいよ。

特に沙希ちゃんには。」


そう桜井君が言った。

私がキョトンとしてると、


「後で話すから。」


真奈がそう言った。


「そうだよな、女子二人でテントで寝るんだもんな。

何でも話せばいいよ。

こっちは野郎四人だぜ?

狭いし暑苦しいわ。」


「狭いって、堺が一番場所取るだろ!」


「しょうがないだろ、俺、荷物が多いし。」


「キャンプなのに色々持って来すぎ!」


「一緒にそれで遊んだだろ!」


「そうだけどさ!」


堺君と佐々木君が言い合いしている。

そういう時間がわりと楽しい。

二人とも本気で喧嘩してるわけでもないし。


「そういえば、誰?

いい匂いさせてるのは?」


園田君がいきなりそう言った。


「何の匂い?」


「爽やかな香り。

香水かな?」


「あぁ、それ、俺かも?」


「えっ、堺なの?」


「ほら、首の近く、匂い嗅いでみろ!」


「あっ、本当だ!」


園田君は堺君と正反対みたいなキャラなのに、仲良いなって思う。


「でもさ、沙希ちゃんも良い匂いするよねっ!」


園田君がそう言った。

何の匂いだろう?


「シャンプー、何使ってるの?」


「ママの使いたいやつ。」


「名前は?」


「分からない。

CMで、サラサラキラキラって言ってるやつ。」


「あっ、分かった!

夏の海で皆を虜にさせようって言ってるやつでしょ?」


「そうそう、それ!」


「あのボトル可愛いよね?」


「そうかな?

言われてみれば、何か変わったボトル。」


「女子っぽいね。

僕はそういうの似合わないから、使わないけど。」


「いや、似合うでしょ?」


「もっと男っぽくなりたいな。」


園田君は可愛いのが良いのにな。

でもさすがに女性向けのシャンプーはダメかな?


「お前、可愛いんだから、似合うだろうが。」


「堺君、そうやって僕を女子っぽくさせたいの?」


「違うよ。

可愛い男子がいたっていいだろ?

俺みたいに、むさくるしい男だらけじゃ、世の中の女子が可哀想だよ。」


「むさくるしいんじゃないよ、カッコいい!」


「そんなカッコ良くねぇぞ?!」


堺君も園田君もどっちもカッコいいと思うけど。

でも恋愛対象とは違うなって思う。






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