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そんなこんなで新入生テストの日が来た。

さすがに、範囲が広すぎる。

入試の延長のような物だと弓弦も言ってた。

皆で勉強するとかもなく、出来る事はした。

テストが終わってから、数日後に、学年順位が貼り出される。


「うわー、見に行きたくない。」


「だよね。」


そうは言いつつ気にはなる。


「あっ……。」


一位はやっぱり、高橋弓弦。

当たり前のように見ていた。

でも二位が、高橋咲。


「あの子、二位じゃん……。」


「頭の良さは家系なのね……。」


「可愛くて頭が良いならモテるよね。」


私も真奈も真ん中位だった。


「咲ちゃん、凄いじゃん!」


誰かの声がする。


「弓弦君には負けるよぉ。」


「勝てるって。」


「うーん、複雑よ?

好きな人の方が順位が上の方がドキドキするっていうか、憧れるって言うか。」


「それ分かる!」


高橋咲と誰か女子が盛り上がっている。


「弓弦、一位じゃん。」


弓弦に誰か男子が話しかけている。


「うん。」


「咲ちゃん二位だし、お似合いじゃん。」


「勉強は関係ないよ。」


「え?」


「俺が出来る事は出来なくてもいい。

俺の出来ない事が出来るとか、そういう人の方がいいよ。」


「え?」


「スポーツ万能とか、ゲーム上手いとか、一緒に遊べる子がいいよ。

咲ちゃんは運動神経悪いし、ゲーム出来ないから。」


「弓弦、ハッキリ言うんだな。」


「言わないと分からないでしょ?

こっそり宣戦布告とかさ、性格悪いし。

宣戦布告されても、いちいち俺に言わないような子の方が好きだな。」


「え?

宣戦布告?」


「そう。

俺にクラスのヤツが教えてくれた。」


「お前の事を好きな子に宣戦布告?」


「ううん、俺の好きな子に。」


「好きな子いるんだ?」


「ずーっと片思い。」


「え?

いつから?」


「小学生の時からかな。」


「マジか。

お前、一途なんだな。」


「まぁね。

俺の様子がおかしいと飛んできてくれる、可愛い子だよ。」


「マジか。

会ってみたい。」


「そうだな。

付き合えたら、ちゃんと紹介するよ。

でも別の人に片思いしてるから、無理かも。」


「マジか、お前なら勝てるじゃん?」


「勝てたらいいな。」


私がいるのを知ってるのか知らないのか分からない。

でも、小学生位からそう思ってくれてたなんて……。


「本当にあの人、一途なんだね。」


真奈が感心している。


「そうみたい……。」


「沙希、幸せじゃん。」


「そうかもしれないね。」


真奈が嬉しそうに言ってくれて、何だか嬉しくなったよ。


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