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放課後、廊下を走る音がする。

バタバタうるさいな……と思ったら、


「沙希!」


咲真が教室に走ってきた。


「走って来たの?」


「さ、さっき……。」


「さっき?」


「弓弦が女の子と親しげに話してて……。」


「うん。」


「サキちゃんって呼んでて、沙希かと思って見たら違う人で!」


「それ、高橋咲。」


「へっ?」


「弓弦のイトコ。」


「え?」


「弓弦に片思い中。」


「え?

その高橋咲って子が?」


「弓弦もイトコだし、普通に話すよね。」


「なーんだ、浮気してるのかと……。」


「浮気って……。

弓弦、誰とも付き合っていないでしょ。」


「あぁ、まだ付き合っていないのか。」


「まだとか言わないでよ。」


確かに、皆がまだって思っているよね……。


「それより、美月とは?」


「うん……よく通話とかしてるよ。」


「そっか。」


「向こうは部活で忙しいからさ、会えないよね。」


「会いたい?」


「うん、それはね、毎日会わなくなると、何か寂しいというか。」


「私も美月に会いたいな。」


「言っておくね。」


「うん。」


咲真と雑談をしていても、中々、弓弦が来ない。


「ごめーん、遅くなって。」


弓弦が来た。


「おい、弓弦。」


「ん、咲真?

どうしたんだよ。」


「沙希以外の子とあんまり親しくしてると、上手く行かなくなるぞ!」


「え?」


「あの女子、弓弦に腕を絡ませてただろ!」


「それ、言ってもやめないんだよ。」


「本気で嫌がるか怒るかをしたらどうだ?」


「そうだけど、アイツの母親うるさいからな……。」


「沙希の気持ちも考えろよ。」


「だって、沙希は俺の彼女じゃないよ?」


「彼女じゃなくても、自分を好きって言ったくせにって思うかもしれないだろ。」


「うーん。

嫉妬してくれたら、ハッキリ言うんだけど、嫉妬されないからな。」


「弓弦は沙希の事は本気じゃないのかなって思ったぞ!」


「本気に決まってるだろ。

俺は沙希がいなかったら、この学校にいない。」


確かにそれはそうかもしれないね。


「咲真羨ましいよ。」


「え?」


「彼女がいるんだもんな。」


「それはそうだけど。」


「俺も彼女が欲しいけど、妥協したくない。」


「俺、妥協はしていないよ。」


「あぁ、デートとかしたいのにな。」


「デートって、何すればいいんだろうな?」


「え?」


デートって、何をすればいいんだろう?

それは私も思う。

そして、弓弦はデートで何をしたいのか気になる。

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