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弓弦大丈夫かな?

そう思っていた。

でも聞きにいったら、あの女子がうるさいよね。

そう思うと聞きに行けない。

帰りに聞けたら良いんだけど。


「沙希、ちょっといい?」


弓弦が教室に来た。


「うん。」


弓弦に連れられて、人の少ない場所に行った。


「あのさ。」


「うん。」


「さっきの聞こえた?」


「え?」


「廊下から聞こえてた?」


「あぁ……。」


「誤解しないで欲しいんだけど……。」


「うん、誤解してないよ。」


「いや、誤解してると思う。」


「え?」


「大きい声出してたアイツ、俺のイトコ。」


「はい?」


高橋咲たかはしさき。」


「え?」


「咲真の咲と同じ字で、サキと読む。」


「……。」


「俺は咲ちゃんって呼んでる。」


「そうですか……。」


とてもややこしい……。


「俺が呼び捨てにする女子は、貴女だけ。

そう伝えたくて。」


「……。」


「分かりやすく言うと、拓哉君の立場が俺。

雪夏ちゃんの立場が沙希だよ。」


「付き合っていませんけど……。」


「そうだけど、分かりやすいでしょ?」


「じゃあ、彼女は弓弦を……。」


「イトコは結婚も出来るのよって言っている。」


「マジか……。

色々と古傷をえぐられるような気分だな。」


「まぁ、そうかもしれないけど。」


「多分、彼女は兄貴を好きだったと思う。」


「そうなの?」


「でも結婚しちゃったからね。」


「そうだよね。」


「でもさ、俺は一筋なので、宜しくお願いします。」


弓弦が深く頭を下げる。


「ちょ、こういう時、何て言えば……。」


「こちらこそって言って欲しいけど?」


「うーん……友達としてなら。」


「プッ。」


「え?

笑ってるじゃーん!」


「ごめんごめん、俺、かわいそうだな。」


「え?」


「いや、まぁ良いわ。

俺は本気で行くからね?」


「うん……。」


本気って言われると、ドキッとする。


「好きだよ。」


そう言いながら、弓弦が私の顔を覗き込む。

私は思わず、一歩下がった。


「え?

今、言う?」


「ハハハ、なーんか照れるな、これ。」


「自分が言ったんじゃん。」


「これからも言うからね?」


「……。」


「嫌なら嫌って言って?」


「嫌じゃないけど……。」


「良かった。

じゃあ、また、帰りにね。」


「うん……、またね。」


弓弦が去っていく。

何か弓弦、更にカッコ良くなったな……って思ってしまった。

でもこれが恋なのかは分からないままだ……。

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