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「ねぇ、沙希聞いてよ。」


真奈が勢い良く言ってきた。


「ん?」


「教室、学校に来る時に靴擦れ出来ちゃった。」


「え?

痛いじゃん、それ。」


「だよね。」


「絆創膏は?」


「忘れちゃった。」


「保健室行こうか?」


「どこだっけ?」


「ほら、校内案内図もらったから。」


「うん、見ながら行こう。」


真奈と一緒に保健室を探す。


「大丈夫?」


「うん。」


真奈が廊下で足を引き摺っていると、


「沙希、その子、どうした?」


咲真が話しかけて来た。


「靴擦れだって。」


「マジか。

それなら歩かせたらかわいそうじゃないか。」


「あっ、そうか。

じゃあ、私が保健室行ってくるよ。」


「場所分かるの?」


「分からない……。」


私が分からないと言った瞬間に、


「これ使って。」


背後から聞き覚えのある声がする。

弓弦だ。


「あ、ありがとうございます!」


真奈がお礼を言う。


「予備も必要だろうから、二枚で良いよね?」


「はい!」


弓弦が真奈に絆創膏を渡して、すぐにいなくなろうとする。


「弓弦!」


私もお礼を言いたくて呼び止めた。


「ん?」


「ありがとう!」


「うん。」


弓弦は多くを語らず去って言った。


「何でこんなタイミング良く来たんだ?」


咲真がキョトンとしている。


「分からない。」


「まぁ、いいか。」


「咲真は?」


「あっ、俺、トイレ行くんだった!」


「そっか。

ごめんね、早く行って。」


「うん、またな。」


「またね。」


咲真もいなくなった。


「ねぇ、沙希?」


真奈がニヤニヤしている。


「何?」


「あの新入生代表の彼、沙希の事、好きでしょ?」


「へっ?」


「気付いてないの?」


「ん?」


「沙希にありがとうって言われて、めちゃくちゃ嬉しそうに笑ってたよ。」


「え?」


「沙希の事が好きなのね、とっても。」


「友達だよ。」


「沙希はそう思っていても、向こうは違うよ。」


「そうなのかな?」


真奈にも分かってしまうくらい、弓弦は分かりやすいのかな?


「これはもう三角関係よね。」


「え?」


「だって、彼を好きな子がいるじゃん。」


「うーん、面倒だな……。」


「面倒だけど、仕方ないわよね。

人を好きになる気持ちって、他人がどうこう言えないし、自分だって混乱する事もあるわ。」


「そうかもね。」


「沙希も本当に彼を恋愛対象に見てないなら、そうって言った方がいいし。

でも恋愛対象なら応援するから、いつでも言って欲しい。」


「うん……。」


私はどうしたら良いか分からない。

でも分からないままじゃ、そろそろダメなんだなって思い始めた。


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