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「あのさ、せっかくだから相談してもいい?」


「うん。

買い物終わってからね。」


周磨が相談があると言い出した。


「沙希、このペンは擦ると消えるぞ。

でも消えて困るものには使えない。」


「あぁ……どうしよう?」


「消えなくていいなら、これがオススメ。

書きやすいよ?」


「あっ、本当だ!

これにしようかな?」


「一本持っていて損は無いよ。」


「うん。

これ買おう!」


弓弦が書きやすいペンを教えてくれた。


「それでどこで話すの?」


「うちでいいよ。」


周磨の家で話すことになった。

雑談をしながら周磨の家に向かった。


「あぁ……懐かしい。」


私は本当にそう思った。


「懐かしいって、つい最近来たでしょ?」


「そうだっけ?」


周磨の家が懐かしく感じる。


「それで相談って?」


「うん。

それが、彼女の事で。」


「え?」


「うーん、付き合うって難しいね。」


「え?」


周磨が、しょんぼりしている。


「俺さ、彼女を好きだからって、緊張してるんだと思う。」


「それはするでしょ?」


「手を握る事すら出来ない。」


「それは……彼女が手を繋ぎたいかによるよね?」


「だよな……でも一緒にいれるだけで、もう幸せで。」


周磨は本当に幸せなんだね。

でも……。


「じゃあ、これからもっと恋人っぽい事を彼女が望んでいたらどうするの?」


そう弓弦が冷静に言った。


「それは……。」


「ちゃんと話し合わないと終わってしまうかもしれないよ?

周磨は沙希の友達と付き合ってるんだよ?

それは下手したら沙希の問題にもなって来るの分かるだろ?」


「そうだけど……。」


「沙希は別にいいよって言うと思う。

でも俺は沙希の悲しい顔は見たくない。」


「うん、それは分かるけど。」


「周磨だって、彼女や沙希の悲しませるの嫌だろ?」


「うん、そうだね。」


「ちゃんと考えて、駄目なら協力するから。」


「弓弦……。

何か変わったな。」


「え?」


「もっと冷静だった気が……。」


「俺も好きな人の前だと、調子狂うんだよ。」


「え?

ちょ、今、それ言う?」


「大丈夫。

気持ちは伝えた。

付き合って無いけど。」


「フラれた……とか?」


「まぁ、そういう感じかな。

諦めないけど。」


「強いな……。」


「ちゃんと本気で向き合うっていうのは了解もらってるからさ。」


「そうなの?」


周磨が私を見た。


「うん。」


そう私が言うと周磨が、


「弓弦、頑張れ。」


そう言った。


「お互い頑張ろうぜ。」


「うん。

あともう一つ。」


「何?」


「課題分からなくてさ。」


「うん。

問題見せて。」


弓弦と周磨が何事も無かったかのように、突然勉強を始めた。

そういう事もよくある事……かな。

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