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「マジか。」
学校に着くと自分のクラスを確認する。
私達三人は全員クラスが違う……。
「どうしよう……。」
「大丈夫か、沙希?」
「うん。」
大丈夫なわけが無い。
友達作るのも苦手だし……。
でも教室に行かなくては……。
気が重いけど、どうにか席に着く。
「おはよう!」
「おはよう……。」
私の後ろの席の女子に挨拶された。
「佐藤さん……だよね?」
「うん。」
「私も佐藤。」
「え?」
佐藤さんが多い事は知っているけど……。
「私は
真奈って呼んで!」
「私は佐藤沙希。
沙希でいいよ。」
「佐藤って多いよね。」
「うん。」
「この前、病院で佐藤真奈って呼んでると思ったら、サトウマアナさんだった。」
「マアナ?」
「うん。
似すぎ!」
「アハハ、本当だね。」
「沙希、笑うと超可愛いね!」
「え?」
「怖い顔して教室に入って来るからさ。」
「緊張してるだけだよ。」
「そっか。
人見知りなの?」
「うん。」
「そんなキレイな顔なのに、もったいない……。」
私の人見知りはどうにもならない……。
ずっと悩んでいるけど。
「私、こっちに引っ越して来たばかりなんだ。」
「え?
どこから来たの?」
「東京の田舎の方。」
「東京に田舎ってあるの?」
「それよく言われるけど、あるのよ。」
東京に田舎があるとは知らなかった。
「ここは都会でも田舎でも無いよね。」
「うん。」
「学校の近くに住んでるの?」
「電車で来てるよ。
沙希は?」
「歩いて来た。」
「近いね!」
「うん、近いから走ればすぐだよ。」
「え?
走るの?」
「朝から走りたくないか。」
「そうだよね。」
歩いて来たいけど、さっきも走ったような……。
「沙希はクラスに知ってる人いるの?」
「いない。」
「そうなんだ?」
「小中学校で同じ学校だった人はいないよ。」
「そうなんだね。」
「近すぎて嫌って人も多いみたい。
ちょっと遊ぶような所も少ないし。」
「確かに。
私はこの辺りの事は分からないから、今度色々教えてくれる?」
「うん、いいよ。」
真奈は話しやすい。
見た目も特に目立つ方では無いんだけど、話しかけてくれる人がいないと、私は一生友達出来ないから助かる。
「もうすぐ入学式始まるね。」
「この時期の体育館寒いよね。」
「分かる分かる!」
「凍りそうだよ。」
「カイロ持って来ちゃった。」
「いいね!」
「二つあるから一つあげるよ。」
「え?
いいの?」
「うん。」
「ありがとう!」
カイロが良い感じで温かくて嬉しいな。
「そろそろ行くみたいだね。」
「早く終わるといいね。」
私達は教室から出て、体育館に向かった。
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