憧れと友情と愛情と……。

φまりかφ

1の1

ずっと。

ずーっと。

憧れている人がいる。

その人は私のイトコ。

私はその人のお嫁さんになりたいと思っていた。

今は……まだ憧れているけど……。

これからは分からない。


私の名前は佐藤沙希さとうさき

今日から家の近くの公立高校の一年生。

憧れのイトコが通っていた高校を受験して、見事に合格出来た。


「沙希、学校行くよ。」


「あぁ……眠いな。」


入学式の日に迎えに来てくれたのは、友達の高橋弓弦たかはしゆづる佐藤咲真さとうさくま

この二人は同じ高校に通う事になった。


「咲真、眠そう。」


「眠いよ。

ゲームしてたし。」


「ゲームしないで寝なさいよ。

入学式なんだから。」


「ヤバイよな。

入学式寝るかも。」


「ダメダメ、起きてて!」


「ねむっ。」


私も弓弦も咲真も同じゲームが好きで仲良くなった。

親友とも言える存在。

異性の親友なんて有り得ないなんて言う人もいる。

でもそれ人それぞれだから。

勝手に決め付けないで欲しい。


「今日は何時頃帰れる?」


「昼頃でしょ。

ご飯持って来てないのに昼過ぎとか無理だからね?」


「そっか。

早く帰らないとな。」


「何か用事?」


「彼女が会いたいって。」


「ラブラブだね。」


「うーん、そうか?」


咲真には彼女がいる。

私の友達でもある、清水美月しみずみつき

運動部が優秀という私立高校に入学する。


「美月の学校、ちょっと遠いんでしょ?」


「一時間位か?」


「遠いじゃん。」


「俺らに比べたらな。」


私は徒歩で通学出来る位、学校が近い。


「あっ、沙希、危ない!

車道側を歩くな。」


「あぁ……ごめん。」


「咲真も気をつけろよ。」


弓弦は私と咲真の保護者みたいだ。


「今度また皆でゲームしようぜ?」


「どこで?」


「学校?」


「それマズイだろう?」


「うーん。」


「うちに来ていいよ。

来る時は連絡して。」


「うん。

それにしてもスマホって便利だな。」


「何が。」


「話しかけると色々教えてくれる。」


「そうだな……。」


私達は高校へ入学すると同時にスマホを手に入れた。

学校では遊ばないとか色々言われたけど、メッセージ交換くらい、授業中じゃなければいいよね?


「電話帳の見方が分からないや。」


「マジかよ?」


「だって電話帳まだ使ってないもん。」


「彼女に連絡するだろ?」


「向こうがかけて来る。」


「たまには自分から連絡しろよ。

彼女が待ってるかもしれないだろう?」


「その内ね。」


咲真は付き合ってはいるものの、恋とか良く分かっていなくて……。

美月がかわいそうに思えてくる。


「ちょっと急ごう!

遅刻はマズイぞ。」


「そうだね。」


私達は早足で学校へ向かった。



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