第5話 加護の獣の心は消えた
村を出て何体かの加護の獣に遭遇したが、例外なくこちらへ襲いかかってきた。特に難なくマーメイドフェスタを呼び出し処理する事はできたが、熊型の獣には苦戦した。パワーが足りずに仕留めきれない状態が続き長期戦となってしまった。結局はスピードを駆使して獣を翻弄し隙をついて回り込み首から脳天目がけて斜めに突き刺し決着した。
獣はなんの躊躇もなく襲ってくるようになっている。あまりのんびりしている時間はないと焦りながら旅路を進み2日後とある村に到着した。
「た、助けくれー」
「なんだこの獣!!普通のけものじゃないぞ!」
「子どもと女を避難させろ!バンの加護はもう使ったのか?!とにかく耐えるぞ!」
村は加護の獣の襲撃にあっていたが、うまく連携できているのか、戦いへの心得があるのか獣5体を相手にして持ち堪えていた。その中でも注目するものがあった。
「俺の加護は発動した!!どうなるかは分からないが悪いことにはならない筈だ!!みんな持ち堪えてくれ!!おらっ!!くらえぇ!!」
僕と同じくらいの青年が味方を鼓舞しながら戦っていた。注目するのはその青年の頭上。おおきな鎧を纏う両腕が獣を牽制していた。コントロールは上手くないのか当てることはあまり出来ていないが獣を近づかせない事には成功していた。間違いなく神の加護だ!!
「見てる場合じゃない、、、助けに行かなきゃ!」
新たな神の加護に見入っていたが、そんな場合じゃないと雑念を振り解きマーメイドフェスタを呼び出し助太刀に向かう。
浮かぶ両腕と加護の獣の間に入り横なぎに一閃。
獣の意表を突き腹を切り裂くこに成功し、まずは一匹仕留めた。
「助太刀します!!これは加護の獣です!!僕が注意を引くのでその隙に攻撃していってください!」
「来た!バンの加護が上手く発動してたぞ!」
「普段は碌なことにならない事もあるがいざと言う時は本当に凄いぞバン!」
浮かぶ両腕の持ち主、バンを誉めるようなからかうよな口調で皆んながはやしたてる。能力??浮かぶ両腕だけというわけじゃないのか??と思いながら獣を牽制する。
「助かったぜ!!俺の名前はバン!!最近妙な獣が出てきてよ!一匹二匹ならどうにかなったが、こうも集団で来られちゃたまらなくてな、、、。危うく全滅もあり得た!ワンダフルラッシュの能力で来てくれたのかは分からないが感謝するぜ!!とりあえず話はこいつら倒してからだ!!」
そうバンはいうと今まで抑えていたのか両腕を大きく開きバン自身の動きと両腕が連動し、的確に獣たちを殴り飛ばし始めた。
「これは、、、僕の助けは必要なかったんじゃ、、?」
「いや、そうでもないぜ!!これはスキがとにかく高くてな、、、。コマ割りってやつがどうにも効かないし、大雑把なかんじなんだ。普通にやったら数に押されてやられてたぜ!!」
「そ、そうか!ならよかったよ!!」
そうして僕が獣を足止め、引きつけをしてバンが両腕の火力で捻り潰すパターンがハマり効率よく獣を処理する事がでした。初めに村にいた加護の獣は十体も居なかったのに、、、。凄い数が増えているのかもしれない。
「ありがとう!助かったぜ!!」
「あぁ、そうだ!私たちだけでは誰か死んでたかもしれん!」
「旅人さんに感謝だ!!」
「いえ!当然の事というか、あの獣はうちの村から生まれたと言うか、、、。それの責任をとっているだけですから。こちらこそ本当にご迷惑をお掛けしました!」
バンや村の人から感謝されたが、正直複雑な気持ちだった。元はと言えば自分達の村が起こした不祥事の余波がいろんな所に影響を及ぼしているという事を実感したからだ。もう僕と"先生"だけの話じゃない。周りを巻き込んでしまっている。そのことに酷く落ち込んでしまった。
「ふーん、なんか訳ありってか??まぁ加護持ちなんて大体訳ありか!!体を壊すほどの祈りがなきゃ加護なんて貰えないとか言うしな!!その点俺はラッキーだったぜ!!なんか起きたら加護持ちだったからな!!能力は正直使いにくいが、、、。とりあえず何があるなら話してくれよ」
バンは僕の暗くなった声に気がついたのか、こちらを気遣うようにあかるくふるまってくれた。村の人からも慕われているし、彼は良い人なのかもしれない。
「あぁ、ありがとう。僕はアル。この村から2日ほど離れたところにある村にいたんだ、、、」
"先生"への責任を取るために、バンや村の人に加護の獣のこと村のこと"先生"のことを話した。
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