第11話

「なぁ、『洗脳者』の噂、知ってるか?」


「洗脳者?」


「あぁ、最近勢力を伸ばしている義勇軍のトップがそう呼ばれているらしいんだが……」


「あぁ、あいつらか。あの悪名高い大盗賊団を壊滅させたって言う、あの」


「そう、それだ。あいつら、ついに魔族軍の幹部の一人を撃破したらしいぞ?」


「うそだろ!? ……ま、まじかよ……どんな生き方をしてたらそんな力が身に着くんだよ……そもそも、俺だったら力があってもそんな危険な事絶対しないけどな……一体何が目的なんだ?」


「分からない。目的も、素性も、全てが謎に包まれているそうだ。とにかく強い奴らを狩りまくってるらしい。おかげで、今まで強くて手をつけられなかった悪党どもが、『洗脳者』率いる義勇軍に駆逐されまくってるんだってよ。魔王が討伐されるのも時間の問題だそうだ」


「凄まじいな……どんな祝福を持っていたら、そんな事が起こるんだ?」


「それなんだよ。『洗脳者』なんて呼ばれるくらいだから、人を無条件に洗脳して服従させる能力なんじゃないかと噂されているんだが……」


「まじかよ……そんなの勝ち目ないじゃんか……チートだよ……」


「あぁ……でも、一つだけ、不可解な点があるらしい」


「なんだよ?」


「義勇軍の構成メンバーが、『洗脳者』以外は全員女らしいんだ」


「なに?」


「ありとあらゆる能力を持つ才女達が、『洗脳者』に心酔しているらしい」


「なんだよそれ……遊び放題じゃないか……羨ましい限りだな」


「でも、戦闘以外ではその女達ともあまり関わり合いにならないそうだぞ?」


「えぇ……なんかもうわけ分からないな、そいつ」


「全くその通りだ。祝福を使って女のみを洗脳するクズなのか、それとも女達を惹きつける何かを持つ偉人なのか、一目でいいからお目にかかってみたいもんだな」


「俺はパスだな、嫉妬で頭が狂いそうになる」


「ははは、それもそうだな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る