第13話

長い作業の末、やっとのことで採掘機を掘り起こすことができました。

 「ふぅ~。やっと掘り起こせた。あとはこの採掘機から使える部品を探すだけだけど・・・だめだ、ちょっと休憩」

 「ぼくもむり~。おなかすいた~」

 「わしは大丈夫じゃ。どっちかというと回復しきっておるぞ。あとの作業はわしに任せておけ!」

 「本当に?宇宙人さんたまーに頼りになるとき気持ち悪いよね」

 「気持ち悪~い。気持ち悪~い」

 「なんと無礼な、手伝ってやるって言ってるのに無礼千万じゃ」

掘り起こしの作業で疲れ切ったクーリーとウォーリーは宇宙人さんと交代で休憩に入りました。周りにいた大人たちはさっきと同様にいつの間にか消えていました。宇宙人さんは掘り起こされた採掘機のもとに向かいました。

 「ふん、なんと遅れた技術じゃ。クォーツアクセラレーターも、アトミックジェネレーターもモーターさえゃないか!なんじゃこれは何で動いとるんじゃ?これか?この鉄の箱が動力か?おい、おいフクロウ2号、こっちにこい。こっち来て手伝え!」

 「なんだよ~。さっきは{わしにまかせろ}とか言ってたのに結局手伝いがいるんじゃない」

 「うるさい。ここにある機械が後進的すぎて逆に何もわからん。で、ジェネレーターはどこじゃ?」

 「そんなものついてるわけないじゃん。何十年も前の機械だよ?ほら、このエンジンで動いてるの」

 「これがエンジンか?なんじゃこのいやに複雑で物理的な機構は、からくり箱か?よし、エンジンの場所はわかった。で、このエンジンに電力を送るバッテリーはどこじゃ?」

 「そんなの積んでないよ。このエンジンはピシトンエンジンって言って燃料を燃やしてその力で動いているんだよ。まあざっと説明するとね」

 「なんじゃ、野蛮なエンジンじゃの。これをどうするんじゃ?」

 「このエンジンをコリル車に積むんだよ。ちょっと大きいから改造が必要だけど、誰かさんのせいでモーターが完全に焼けちゃって溶けちゃったんだもん」

 「うむ、さすがわしのパシリス炉じゃ。地球人ごときが作るモーターでは荷が重すぎたか」

 「そのせいで壊れちゃったんだからわけないよ・・・ほら、エンジンを取り出すよ、手伝って」

 「いいじゃろう、この後進的なエンジンに我が宇宙の力を与えてやろう」

 「余計なことはしなくていいから。ほらそこの工具とって・・・」

 「わかったわかった。喚くで無い。この工具じゃな?」

二人は協力して(宇宙人さんは変なことしないように工具持ちだけど)採掘機からエンジンをとる作業を行いました。採掘機なだけあってエンジンはかなり大きく取り外すだけでも一苦労です。取り出したエンジンは何年も放置されていましたが驚くほどきれいで少しの整備で使えるようになりそうです。ピシトンに油をさし、スパークプラグを交換して試験を行いました。 ガッガッガ ブルォーーー

 「よし、動いた動いた!エンジンは何とか大丈夫だね。さああとはこのでっかいエンジンをどうこの小さいコリル車に積み込むかだね」

 「そんなの簡単じゃ。イラン分のピストンを切ればいい。ほれ、こうやって」 スパーん

 「うわっ、エンジンが半分の大きさに・・・何その切れ味、てか何その工具、僕そんなの持ってないよ」

 「ん?これか?これはさっき落ちていた部品を集めて作ったんじゃ。材料の純度が低いから2,3回しか使えんが、まあこの星の物質ぐらいなら何でも切れるぞ」

 「ほんとにそういう点は尊敬するよ。それ作ってたからほとんど手伝ってくれなかったんだね?」

 「役には立ったんじゃ。別に文句はないじゃろう?」

 「まあ助かったよ。さあこの大きさならコリル車にも積めそうだ。コリル車からモーターだったものを下ろしてこのエンジンを積むよ。ほら宇宙人さん!」

ウォーリーと宇宙人さんはコリル車のところまでエンジンを持っていきコリル車のモータールームのハッチを開けると、そこには、もとはモーターだったであろう鉄の塊が陣取っていました。

 「これが宇宙人さんの機械の餌食になったモーターか・・・すさまじいな・・・取り出すか」

 「ふん、わしのパシリス炉、なんというパワーじゃ。我ながらいいものを作った」

 「自画自賛しすぎだよ。ほら自惚れしてないでこの鉄塊をとるの手伝ってよ」


 「ほれ、取れたぞ。ほれそのエンジン積むぞ」

 「はい・・・ふ~。やっと積めた・・・後の配線は僕がやるよ。宇宙人さんはクーリーの様子見て来て」

 「また子守りか~。ふん、頼まれてやろう。」

宇宙人さんはクーリーを見るためクーリーの元へ行き、ウォーリーはもともと電気車だったものをエンジン車に変えるため配線工事を始めました


~~第十四話に続く~~

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