第12話
「本当に君たちクーリーを知っているの?」
「ウン、シッテルヨ。ダッテ、僕たちがツレテキタンダモン」
「え?どういうこと?君たちが連れてきたって・・・」
「ボクタチハカラダハナイケド、ヒトノカラダニハハイレルンダ」
「つまり、人に憑依できるってこと?」
「マアソウダネ。ホラモウツクヨ」
子供たちに誘われた場所は水が溜まっていてとても神秘的でした。水も一滴の濁りもなく、高い山脈から見た景色のように澄み渡っていました。そんな洞窟にはピチョンピチョンと地下水がいず溜まりに落ちる音が響き渡り落ちた雫は波紋を広げ続けていました。まるで普遍という言葉を体現したかのようなその景色はウォーリーたちを呆気にとらせるには十分すぎるほどでした。
「ココダヨ・・・ココニイルヨ」
「こ、こんな場所がこの洞窟にあるなんて・・・」
「ああ、こりゃ圧巻じゃな・・・こんな景色故郷でも見たことないわ」
「それで、こんな綺麗な場所のどこにクーリーがいるの?」
「ソコ・・・・ソコノオクニイルヨ」
子供たちが指を刺した方向を見ると、岩の壁が続く中に茶色い丸いものが座っていました。クーリーでした。
「クーリー!クーリー!」
ウォーリーはクーリーを見つけた途端に嬉しそうに呼びかけました。しかしクーリーからの返事はありません・
「クーリー?どうしたの?返事してよ。どうしたの」
「ダイジョウブ・・・・・ツカレテネテルダケ・・・」
「それならいいけど。なんでこんなに疲れてるの?・・・・・あれ?でも他の二人はいないの?」
「ホカノニハハイレナカッタノ。ダカラコノコダケツレテキタ・・・」
「じゃあワーリー兄さんの場所もわかるの?」
「ワカラナイ。ドコカニイッチャッタカラ・・・」
「なら君たちは今兄さんがどこにいるかわからないの?」
「おい、子供!わしの部下をしらんか?小さい豆みたいなやつじゃ」
「阿蘇dほいじょあそn」
「いかん。何を言ってるかわからん・・・フクロウ2号訳せ」
「兄さんと一緒にどっか行ったってさ・・・」
「ボクタチハコノソトヲシラナイ・・・ダカラホカノフタリハシラナイ」
「そうか・・・残念だ・・・」
そうこう話していると、その音でクーリーが目を覚ましました。
「んんん。誰、何?どこ。あれ?兄さんどうしたの?」
「クーリー大丈夫?怪我してない?どこか変なところはない?」
「あれ?ワーリー兄さんは?部下さんは?一緒にいたのに〜」
「覚えてないの?ワーリー兄さんたちはどこかに行っちゃったらしい。今からみんなで探しに行くところなんだ。クーリーはまだ休んどいた方がいいんじゃない?」
「ん〜。なんか〜ワーリー兄さんと廃墟を歩いてたら〜声が聞こえてきて〜そっちの方に歩いて行ったら〜眠くなって〜今起きたところ」
「廃墟?あれ?クーリーが来たのってあの道だよね?僕たちもそっちから来たけど・・・・なんでクーリーたちと合わなかったけど・・・それに廃墟って・・・僕たちが見たのは廃棄された採掘機だけで街どころか建物ひとつ見なかったけどな」
「え?でも〜街はあったよ〜僕たちはソコでご飯も食べたんだよ〜」
「どういうことだろう?同じ場所から来たのに、会ってないし見た景色も全く違う。ん〜・・・・・・・・・・・・・あ、そうだ。宇宙人さん。あのなんか部下さんの場所がわかる機械まだ持ってる?」
「ん?ワシカラニゲラレーンのことか?ああ、まだ持っておるが何に使うんじゃ?」
「あれでさっき見た時、僕たちと同じ場所に反応が出たでしょ?それってもしかして。本当に同じ場所にいたってことじゃない?何かしらの理由で見えなかったけど・・・」
「何を言っとる。奴らが異次元位でもいたというのか?あの機会は壊れとるとお前さんも言っておったろう」
「最初はそう思ったけど、今のクーリーの話を聞くとどうもそんな感じがして・・・今部下さんはどこにいる音になってる?」
「今か?今はさっきまでいた大空洞の下にいることになっとる。やっぱり壊れてるんじゃよ、あそこの下にあいつらがいるわけがない」
「そんなのわからないでしょ?今から向かってみようよ」
「じゃがどうするんじゃ?コリル車は壊れとるし、あの霧は抜けられそうにないし、あれは一人乗りじゃろう?このフクロウ3号を置いていくのか?」
「まあ確かに、それにこの子たちも連れていかなきゃ・・・まずはとにかくコリル車を修理しようか」
「まあそうするしかないじゃろうな、それにあいつら本当に連れていく気か?」
「あんな話聞かされちゃあ、置いていくわけにはいかないよ」
「お前正気か?確かに気の毒じゃがそれだけじゃ。あいつらは幽霊じゃぞ?一緒にいたら何が起こるかわからないぞ?」
「でも連れていかなかった時こそ何されるかわからないよ?連れて行けるなら連れて行ったほうがいいよ。もしかしたら成仏してくれるかもよ?」
「まあそれならいいが、わしは絶対一緒には乗らんぞ?」
「わかったよじゃあこの修理が終わったら僕はドリル車を取ってくるよ。それまでクーリーを見ておいてよ」
「それはいいが、お前直せるのか?かなり破損していたぞ?」
「そうなんだよね・・・道具はあるけど交換用の材料があるかどうかなんだよね。ここが高山だからその道具の残骸があるだろうから大丈夫だとは思うんだけど・・・」
「それこそあの童どもに聞いたらいいんじゃないか?わしは何を言ってるかわからんからな」
「わかった、そうするよ。任せて」
ワーリーは子供たちに駆け寄り、いくつか質問をしました。この場所がどういう場所なのか、他の人たちはどういう存在でどこに行ったのか、そして修理用の部品の確保について。1つ目と2つ目の質問に対しては子供だからなのか二人とも要領のえない答えしか帰ってきません。材料については心当たりがあるようである場所へと案内してくれました。ソコには落盤で半分埋まってしまった採掘機の残骸がありました。
「これがその採掘機?だいぶ埋まっちゃってな〜掘り出せたらいいけど・・・」
「コレハ60年マエニウマッタヤツダヨ、ウマッテルカラタブンコワレテナイヨ」
「でも掘り出さないと使い用がないなあ。なんか掘り出す道具とかあるかな?ピッケルとか掘削機があればベストなんだけど」
「ピッケルナラアルヨ」
そういうと子供たちはある方向を指さしました。ソコには木箱の中に大量のピッケルや土を運ぶ用のバケツやらが入っていた。掘削機も入っていましたが長い間放置されていた機会はまるで化石のようになっていてとても使えるような状態ではありませんでした。
「このピッケルはまだ使えそうだね。ただこれじゃ掘り起こすまでにかなり時間かかりそうだけど・・・宇宙人さんにも手伝ってもらおう」
「テツダイナラみんなにもタノンデミルヨ」
「さっきの大人たちのこと?それは心強い、お願いするよ」
子供たちは宇宙人さんがいる方向へ走り出し、しばらくしたらさっきあった大人たち6人くらいを連れてきてくれました。
「ありがとう!これで作業時間を短縮できる!」
ウォーリーたちは採掘機を掘り起こし始めました。大人たちは漆器同様顔がはっきり見えず一言も喋りませんでしたが、しっかりと掘削作業を進めてくれました。子供たちは後ろで静かに見守っていました。半分くらい掘ったところでクーリーと宇宙人さんが様子を見にきました。
「どう〜?兄さん〜作業進んでる〜?」
「わしも様子を見にきたぞ。こいつの面倒を見るのも面白くないからな」
「クーリー、もう大丈夫なの?作業の方はこの人たちのおかげで滞りなく進んでるよ」
「僕たちも手伝うよ〜。ね、そのためにここに来たんだからね〜」
「わしもか?わしはお前の面倒を見なきゃならんという仕事があるから遠慮しておくぞ」
「そうか、大丈夫だよ。宇宙員さんが手伝ってもピッケル持てないでしょう?」
「なんか馬鹿にされた気分じゃがまあいいじゃろう。わしはお菓子でも食べながら待っておくぞ」
「お菓子って、まさかあれ持ってきたの?」
「当たり前じゃ、あんなうまいもんこの世に他にないじゃろう。お前も食うか?」
「僕は作業中だから遠慮しておくよ。でもクーリーの前では食べないでね」
「わかっとるわ。テッテレー『どろどろキャンディー』」
説明しよう、『どろどろキャンディー』とは宇宙人さん手作りのお菓子である。なんの材料を使っているかは謎だが泥の中の虹のような色をしており、ぼんやりと光を放っている。およそ食べ物には見えない。宇宙人さんは美味しいと言っているがクーリーを除いてこのキャンディーは兵器になりうるほどまずい。部下さんは度々この兵器の餌食になっている。
「まあもともとわしは他の奴にあげる気なんてにけどな」
「わかってるよ。ホラ早く食べちゃって」
宇宙人さんはどろどろキャンディーを食べながらウォーリーとクーリーたちの作業を見守っていました。
~~第十三話に続く~~
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