第9話
彼らの話を聞くと彼らはこの洞窟に150年近くこの洞窟の中医いるらしい。昔は両親と一緒に山のふもとにあった村で畑を営んでいたらしいがある日両親が政府の政策で進められていた重工業化の一環である鉱山建設に徴収されてしまった。ほとんど住み込みで働くしかなかった両親は子供たちを十分にみることができず子供たちは近くの家から食べ物を少しずつ盗んだり家の隅で死んでいる虫やネズミを食べて生きていたという。冬が来る前はまだそれで生きることができたが、冬が近づくにつれ動物も木の実も減っていきました。とうとう空腹で我慢できなかった彼らは親がいるという子の鉱山へと足を運びました。そこへ行けば親がいて食べ物を作ってくれると考えたのです。山に入り鉱山に近づくと男たちがトロッコで土を外に運んだり、枕木や添え木を運んでいる姿が見えてきました。子供たちはその男たちに両親の事を尋ねました。しかしかえってっ来る答えは決まって「知らない」でした。とうとうしびれを切らした子供たちは男たちの目を盗んで鉱山へと入っていきました。当時鉱山は上からの圧力と技術不足でとても危険な状況で、落盤の音が絶えないような場所でした。時には死者も出るような過酷な場所でした。そんな中に子供二人だけで入るのがどれだけ危険かは想像に難くないでしょう。彼らは無尽蔵に広がっている洞窟を当てもなくさまよい両親を探しました。あちこちで岩を掘る音、トロッコを引く音、男たちの息遣いが聞こえてきます。何時間も何時間も探しましたが両親は見つかりませんでした。そうしてついに洞窟の先端に近づいてきた子供たちはある看板を発見しました。その看板には『この先落盤により進入禁止』と書かれていました。子供たちは不思議に思いました。ほかの場所でも落盤は起きているのになぜここだけ看板が立っていてふさがれているのだろうと。そこ以外のほとんどの道を探索しつくした子供たちはその看板を無視して先に進むことにしました。先にしばらく進むとそこには鉄砲水からできたであろう池が続いていました。その池のふちをさらに進んでいくと二人はあっと息をのみ膝をついてしまいました。そこには池に沈む大量の死体と洞窟の終点に見える大きな機の墓標があったのです。疎の墓標には『我が国の未来の礎を築きし者ここに眠る』と汚い字で書かれていました。どうやらここは、鉱山で亡くなった方々の簡易的な墓だったらしいです。初めて見る人の死体に戸惑いを隠せない子供たちですがその死体の中に、父の姿を見つけるとその戸惑いはパニックへと変わっていきました。パニックに陥った二人は水の中にいる父親に向かって「お父ちゃーん」と叫びながら泣き出しました。二人は三日三晩泣き続けました。その声は鉱山を抜け山に響きました。鉱山の男たちはその声を山の神の涙としておそれました。そしてついに泣きつかれた二人はその場にぺたんと座り込み壁に背中を付けました。もう二人に子の鉱山を出る力も出る気もありませんでした。疲れた彼らは互いに手をつなぎそっと目を閉じました。
彼らはその後何十年もそこで父親の帰りを待ちました。父親はもう死んでいると分かっていても魂として再開できるかもしれないと考えたからです。それから何年も、何十年も、待ち続けました。気づけば彼らの周りにはその墓で死んでいった人の霊が集まってきました。しかし、その中には父親の姿はありませんでした。時がたつにつれ彼らは父親をあきらめ始めてきました。そして彼らが次に思ったのはこの場所を出ることです。彼らは一度死んだ存在、もう死ぬことはできません。彼らはこの洞窟から出ることを考え始めたのです。しかし、長年かけてたまった魂がそれを拒みました。魂が集まってできた霧は彼らを洞窟に閉じ込める壁のように立ちはだかりました。彼らはこの洞窟を出ることもできずここに閉じ込められていたそうです。
「そんなことがあったのか・・・それで僕たちに・・・」
「ダカラボクタチヲツレダシテ・・・」
「それはわかったけど、僕は兄さんたちを探さないといけないんだ」
「ダイジョウブ・・・・・ボクシッテル・・・・ドコニイルカ」
「え?知ってるの?ど、どこにいるの?」
「ツイテキテ・・・」
~~第十話に続く~~
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