第4話
「でもそもそもこの洞窟の入り口ってどっちだろう?」
「ここは街ですし、看板でもあるんじゃないですか?」
「そうか、探してみよう」
「にいさ〜ん看板あったよ〜」
「本当?クーリーお手柄だね」
「ほら、トンカツ屋さんの看板あったよ」
「クーリー今はトンカツ屋じゃなくてこの洞窟の出口を探さないと」
「でもワーリーさん、みてくださいこの看板変じゃないですか?」
「ん?確かに右から書いてある。でもここが旧鉱山の中だったら不思議じゃないんじゃない?昔は文字は右から書いてあったから・・・」
「いえ、そこではなくてほら、営業時間のところですよ」
「どれどれ?『営業時間:あなたの来た時間〜あなたの帰る時間』確かに変な書き方だけど別にただ店主さんの癖が強かっただけじゃない?」
「そうでしょうか・・・何かさっきから違和感を感じていて・・・」
「確かに気味は悪いけど・・・」
「そもそも気づきませんでした?ここはオール山の地下800メートル、光なんか差し込むわけがないんですよ。でもここはぼんやりと明るくて、だから私たちは道が見える」
「そう言われれば・・・全然気にしてなかったけど確かにおかしな感じだ」
「ワーリー兄さ〜ん。看板カンバ〜ん」
「クーリーもう食べ物屋さんの看板はいいって〜」
「違うよ〜、『鉱山出口』って書いてあるよ〜」
「本当?本当だこっちが出口か。これでこの鉱山を出れそうだ」
「でもそっちって・・・爆発音がする場所じゃ・・・」
「あ・・・本当だ。でもここはもう誰もいなさそうな排街・・・さっきのような優雅な街があった時と違って今となっちゃなんの音か見当もつかない。・・・・でも行くってみなきゃ。この音の正体も突き止めたい」
「そうですね、それにこっちがさっきトランシーバーで聞いた第3鉱路があるみたいですよ」
「さっきの救助要請か。それも確かめなきゃね、行くよクーリー・・・クーリー」
「・・・ん、あ、うん。 なんか聞こえたような・・・」
{・・・・・・・・行っちゃったね・・・・・・}
{・・・・・・・・うん、行っちゃった・・・・・・・でも・・・・・}
{・・・・・・・・ここからは出られない・・・・・・君たちは・・・・新しい・・・}
【仲間だからね】
「また分かれ道だ。今度はどっちに行こうか?」
「また看板を探した方が良さそうですね」
「そうだね。みんなで探してみよう」
3人はあたりを捜索して看板を探しましたが、見つかった看板は腐っておりなにが書いてあったか読むことはできそうにありませんでした。
「どうしましょう・・これではどっちに行けばいいかわかりませんね」
「本当にどうしよう・・・この洞窟は広そうだ。もしも間違った道なんか選んだら帰ってくるのに相当時間がかかりそうだ」
「クーリー?どうしたの?」
「こっちな気がする」
そう言ってクーリーは右を指差しました。
「なんで右なの?みた感じどっちも一緒に見えるけど・・・」
「でもなんか右な気がする。そんな気がする、いや絶対右だ。絶対そうだ。絶対そうなんだ」
「ど、どうしたのクーリー、なんかいつもと違うよ?」
「なんでもないよ。とにかく僕は右な気がする」
「まあそんなに言うなら・・・部下さん右にいこう」
「わ、わかりました」
一堂はクーリーの言葉を信じて右の道へと向かった。
「クーリーさんどうしたんですか?」
「わからないよ、なんか旧に喋り方も変わったし・・・」
「極度の緊張状態で少し気が動転してるんでしょうか?」
「どうだろう・・・」
「とにかく今は様子を見ましょう」
「どうしたの兄さん。早く行こうよ」
少し変なクーリーを連れて3人は右の洞窟の道へと進んで行きました。奥に進んでいくにつれて風が後ろから強く吹いてきます。上がりもせず下りもせずただまっすぐ進んでいく洞窟は大きな洞窟同様薄気味悪く霧がどんどん濃くなっていく。ついには前がほとんど見えなくなるまで霧が濃くなっていきました。
「どうしよう。もうほとんど前が見えない。これじゃ進もうにも進めないな」
「そうですね。これ以上は危険な気がします、前が見えないのもそうですが来た道も、なんなら洞窟の左右も見えません。これじゃ帰ることもできませんよ」
「一旦ここで休憩しよう。あれ、クーリーは?クーリーはどこに行ったの?クーリーーーー」
「あ、あそこです。洞窟の奥に・・・」
「クーリーこれ以上は危険だって、一旦休憩して考え直そう。クーリー、どこにいくんだ」
「ワーリーさんだめです。追いかけちゃ。ワーリーさんも危険です」
「でもクーリーが、クーリーーー」
「・・・・だめです・・・・見えなくなりました。どうしましょう。このまま闇雲に進むわけにもいかないでしょうし本当にどうしましょう」
「クーリー・・・なんかに導かれるように奥に進んで行ったけど・・・」
「一旦入り口に戻って準備しましょう」
「準備って?ここにはなにもないんだよ?」
「とにかくここから先にはどう頑張っても進めません。なにがあるかはわかりませんが、とにかく今は戻らないと」
「んん・・・・・そう・・・しよう。クーリーはこの先にいる。追いかけたいところだけど・・・」
「そうです。一旦体勢を立て直しましょう。このきりもただの霧かわかりません」
二人は一旦クーリーの事を置いて街に戻ることにしました。しかし、一旦戻ったからと言って何かが解決するわけでもなくただただ二人は解決する方法を考え続けるだけでした。
「やっぱり無理矢理にでも進んだほうがいい。クーリーをこのまま放っておくなんてできないよ」
「そんなこと言ってもあそこからは自分の足すら見えないくらい霧が濃いんですよ?言っても無駄ですよ」
「でも。このままなにもしないのも・・・」
「そうですね・・・とにかくこの周りをもっと調べてみませんか?もしかしたらあの洞窟の先になにがあるかもわかるかもしれません」
「そうだね。どこに行ったかさえわかれば迎えに行けるかもね」
二人は看板や地図を探しながら辺りの家で何か使えるものがないか探索していました。二人は円形の中心街をワーリーが右回り、部下さんは左周りで街の家を探索していきました。そして二人が半周ずつ終えて互いに最後の家の前で合流しました。
「ワーリーさん、あとはこの家だけですね。ここは・・中華料理店でしょうかね?」
「そんな感じがするね。この町にはたっくさんの料理店がある。この町はもともと旧鉱山の休憩所みたいな感じの街だったのかな?」
「誰かいたらよかったですけどね。そしたらここの土地についていっぱい聞けるんですけどね」
「そうだね。とにかく入ってみよう」
二人は古びた中華料理店のドアをそっと開けました。古びているせいかドアはギィィィィと鈍い音が鳴りました。
ガヤガヤワイワイ
中に入るとそこには繁盛した中華料理店の店内がありました。
「え・・・あれ・・・僕たちは確か・・・」
「ええ・・・廃墟の店に・・・」
「ありゃお客さん。初めてかい、まあまあそんなに緊張せずに、どうぞ座っておくれよ」
「あ・・・はい」
二人はそこの店長に言われるがままに席に案内されました。あまりの驚きで二人とも絶句してしまいました。
「ご注文はなににいたします?」
「あ、ああ。とりあえずチャーハンと餃子で」
「ありがとうございます。チャーハン餃子1つ入りました〜」
「ワーリーさん、な、なにが起こってるんですか?」
「いや、僕にも全くわからない。さっきまで廃墟の街を探索してたはずなのにどうなってるんだ?」
「こんな経験人生で一度でいいのに2度も経験してしまうなんて・・・」
「本当だよ。あれからかなり探してたしきっともう夜が遅いだろうな今何時だろう?」
「え〜と、ん?」
「どうしたの?」
「針が・・・」
「止まってるの?」
「いえ、その逆というか・・・ランダムなんです」
「ランダム?どういうこと?」
「ほらみてください、今3時30かと思えば次の瞬間、ほら10時15分になりました」
「本当だ。時計の針がランダムにずっと動いてる。壊れた?僕の時計とかトランシーバーとか懐中電灯はなぜか動かなくなった。電気製品はことごとくだめだったから多分その影響じゃない?」
「いえ、私の時計は宇宙を漂ってる重力波の変化から時間を計測してるんです。電力も同様に重力波から取ってるんです。止まることも狂うこともあり得るはずがないんです」
「それってつまりどういうこと?絶対狂うはずのない時計が狂うって・・・」
「可能性としてはこの近くに強力な重力源がある、いやでもこれはあり得ないですし、もう1つは・・・」
「もう1つは?」
「いえ、そんなことってあり得ないですよね・・・」
「もう1つはなんなのさ」
「ここの流れている時間が・・・・・本当にランダムなのか・・・」
「えぇ?そんなことってある?重力源と同じくらいあり得ない話じゃない?」
「いえ、前者の方はもしこの近くにこれだけこの時計を狂わせれことのできる重力源があるとしたら私たちどころかこの地球もタダでは済まされません。でも後者の方なら・・・・宇宙にはいくつもの時間軸が重なり合っている場所があります。そこではこの時計も多少狂うことがあるのですが・・・・ここまで狂うなんてしかもそれがこんな山の中の洞窟の中にあるなんて・・・」
「つまりはどういうことなの?」
「もしかしたらこの場所は・・・・・・・無数の・・・それも私たちの予想の範疇を大きく超える時間軸が重なり合った場所なのかもしれません・・・」
「つ、つまり、今僕たちのいるここは・・・・僕たちの時代じゃないってこと・・・」
「そうかもしれません・・・」
・・・・第5話に続く・・・・
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