第3話

「ここが街の中央だね」

 「そのようですね」

3人は数十分かけてやっと街の中央であろう広場につきました。振り返ってみるとさっきまで歩いてきた道は深い霧で包まれており見えません。街の中心は洞窟と思えないくらい天井が高く、寒い空気に覆われています。

 「さ〜む〜い〜よ〜。ワーリー兄さん」

 「本当に寒いねぇ。ここからどうしようか。どこを見ても同じような景色でもうどこからきたかも忘れそうだよ」

 「大丈夫ですよ。私方位磁石持ってますんで」

 「助かるよ。確か入り口は南西に大体2キロぐらいのはずだ」

 「で、兄さんその南西ってのはどっちなの?」

 「ん?おかしいなぁ。方位磁石が・・・」

 「どうしたんですか?ワーリーさん?」

 「方位磁石が・・・ずっと・・・回ってるんだ・・・北を指さない」

 「え?どういうことでしょうか?ここの洞窟の特性でしょうかね?どうしましょうか?」

 「一旦ウォーリーに連絡してみようか」

 「そうですね・・・・」

そう言って部下さんはカバンの中から豆粒サイズのトラアンシーバーを取り出した。

 「ウォーリーさん、隊長、応答願います。聞こえてますか?もしも〜し」

ブツッ ブツツ プツプツ

 「だめです。応答ないですね。ブツブツ音はしますけど」

 「なんでだろう・・・故障?」

 「いえ、そんなことはないと思います。・・・けど」

 「待って兄さん何か聞こえるよ?」


 「本当だ・・・何か聞こえる・・・なんだろう」

 『こ・・ちら・・・第3・こ・・です。・・・洞窟の・・落・・・に・・・って・・・現在・・・2ブロッ・・・に・・・難中・・・救助を・・・ブチ』

ブチブチブチブチ

 「なんだろう。何か救助を求める感じじゃない?」

 「急を要しそうですね。どうしましょうか」

 「入口を探そうと思ったけどこれじゃ見つかりそうもないし一旦ウォーリーに合流したいなぁ」

 「そうですね。でも、きた道は塞がれてしましましたし、トランシーバーは繋がらないですし、困ったものですね」

 「こうなったらもう入り口からさっきみんなで落ちた穴まで回るしかなさそうじゃない?」

 「そうなるかぁ・・でもそれならかなり時間かかりそうだなぁ」

 「でもこれしか道はなさそうですよ」

 「ん〜・・・そうしよう。・・・今はとにかくウォーリーたちに合わないと。向こうも心配してるだろうし」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「道を間違えたかなぁ?」

 「バカを言うでない。道は1つしかなかったぞ?」

 「そう・・・だよね?」

 「この行き止まり・・・なんか崩れた感じじゃないか?」

 「そういえば・・・そうだね」

 「もしかしてここを兄さんたちは通ったんじゃない?」

 「バカを言うな。確かに土砂崩れではあるが見たところ何十年も前に崩落したようじゃ。奴らが通ったのはまだ2時間前じゃぞ?」

 「確かにそうだけど・・・もうここしか道はないよ?崩落してるところも道中一箇所もなかったし」

 「まぁそうじゃな・・・で、進めるのか?この岩をどかすとなればかなり時間がかかっちまうぞ?」

 「なに言ってるの・・そのためにこのコリル車があるじゃんか」

 「あ。そうじゃったな」

 「じゃいくね。しっかり捕まっておいてよ?」

 「わかっとるわ。わしに命令するでない。わしは宇宙から来た最強の・・・」

 「わかったから、しっかり捕まってね」

ウイーン・・・・ガガガガガガガ・・・

 「おおおおおおおお、ゆゆゆゆっゆっ揺れとトトとととととトトとるるルルる。ももももっとててて丁寧にすすめめめめめめ」

と、狭いドコリル車の中で思いっきり投げたスーパーボールのように跳ね回りながら喚き散らした。

 「だからしっかり捕まってって言ったのに・・・」

 「うううううるさっさささいいいい。わししししニニに命令すすすルルるでない。わしししは宇宙うかららら来たささささ最強ののののの・・・」

 「わかったわかった。あと五分はかかるから頑張って」

 「ああああと5ふふふ分じゃじゃじゃじゃと?」

 「そうだよ。あとそんなに飛び跳ねられると視界が見えにくいよ」

 「ううううるさい」

ウォーリーはスーパーボール宇宙人さんと一緒にコリル車で掘り進めた。5分も進んでいくと急に ボコッ と音がなり洞窟を抜けた。

 「なんだこの開けた空間はそれに・・・」

 「どうした2番フクロウ」

 「し、静かに・・・何か聞こえる」

 ドーン ドーン ドーン ドーン ・・・

 『何かの爆発音か?何かと何かがぶつかるかのような音じゃが・・・』

 「本当だね。行ってみよう」

 「待て待て・・・なにがあるかわからんぞ。触らぬ祟り神に耳なし芳一というじゃろ」

 「ちょっと違うと思うけど・・・もしかして怖いの?」

 「わわわわしが怖がるわけななななかろう」

「怖いならそう言ってくれればいいのに、まあ確かに爆発してる現場に無闇に近づくのはちょっと怖いかもね」

「ここ怖くなんかないぞ。わしは怖がっておらん。怖くなんかないんじゃ。わしは宇宙から来た最強の・・・」 

 「わかったわかった。わかったから。怖がってない怖がってないから。で、どうするの?」

 「わしにいい考えがある」

 「なんでちょっといい声で言ったの?」

 「なにをいうとるわしはいつもいい声・・・まあそんなことはいい。お主確かこのコリル車にはラジコンドローンを積んでおったろう。それを使って様子を見るぞ」

 「お、いい考えだね。ちょっと待ってね今準備するから・・・」

ウォーリーが緑色のボタンを押すとコリル車のハッチが開き席の後ろからドローンが出てきました。普段は一人乗りのコリル車なのでなにも問題はないのですが、そこにはいつもならというか絶対にあり得ない小さい宇宙人がいました。

 「わわわわわ おーい。わしの地面が〜。動いとるぞ〜。」

ウォーン 

 「宇宙人さんはそこにあるモニターで監視を・・・あれ?宇宙人さ〜ん。どこ行ったんだろう?」

 「おーい。わ〜し〜は〜こ〜こ〜じゃ〜〜〜」

 「あー!宇宙人さ〜ん、なあんでドローンにしがみついてるの〜」

 「わしの下の地面が動いたと思ったらドローンだったんじゃー」

 「宇宙人さ〜ん、ドローンの電池には限りがある、今宇宙人さんを戻したら電池なくんちゃうから、そのまま宇宙人さんはドローンに乗って様子を見てきてくれない〜?」

 「簡単にゆうでな〜い。こんなに不安定な足場があるか〜」

 「いいからしっかり捕まってて、早くしないと電池切れちゃうよ〜」

 「待ておい。つまりそれってもしも電池が切れたら墜落するってことか〜‼︎」

 「・・・・・」

 「答え〜〜い」

全速力で爆発音限にむっかって飛ぶドローンに乗りながら叫んだが聞こえるはずもない。

爆発音限に向かって近づくにつれ普通なら音が大きくなるはずだが音は一向に大きくならない。

 「なんじゃこりゃ。近づいても近づいても音に近づかん。気味が悪い」

 「ブブッ・・宇宙人さん聞こえる?」

 「あ?なんじゃ。聞こえとるのか?」

 「うん。状況は?宇宙人さんは大丈夫?」

 「さっき行ったとうりじゃ。音に一向に近づかん。目的地まであとどれくらいじゃ」

 「ここからの音から計算するとあと2、3、分のはずだけど・・・」

 「本当か、周りは薄気味悪い霧に包まれてなんも見えん」

 「そのドローンには色々なセンサーがついてる。それで周りを見てみるよ」

 「早く、早くみるんじゃ。なにも見えん」


 「お、宇宙人さん。いい知らせと悪い知らせがあるよ。どっちから聞きたい?」

 「なんじゃなんじゃこの不穏な感じ・・・じゃあいい知らせから」

 「いい知らせ、もうすぐ洞窟の端に到着するよ」

 「おお、で、悪い知らせは?」

 「あと3秒で洞窟の壁に衝突する」

 「え?

ドッッッカーーーーン

 「宇宙人さーーーーーん」

ガラガラガラ

 「うわぁぁぁぁぁ。宇宙人さんがぁぁぁ。死んじゃったぁぁぁ」

ウォーリーはすぐにコリル車で墜落現場に向かった。

 「宇宙人さーん。どこー?返事してー」

ウォーリーは全力でドローンの墜落現場の半径2メートルぐらいを探した。破片が飛び散りとても無残な墜落現場だった。そしてウォーリーはドローンの破片に埋まっている宇宙人さんを見つけた。

 「あああ、宇宙人さーん。ごめん、僕のせいで・・僕が殺したようなもんだ・・宇宙人さんのことは忘れないよ」

 「わしは生きとるぞ」

 「え・・・宇宙人さん・・・?空耳かぁ・・・宇宙人さんの幻聴が・・・」

 「おい、フクロウ2号。わしは生きとる。ここじゃ」

 「え、宇宙人さん。本当に宇宙人さんなの?い、生きてたんだ・・・き、奇跡だ。神様ありがとうございます」

 「なにを訳のわからんことを言っておるのじゃ。あんな小さい衝突事故でわしが死ぬ訳なかろう」

 「それもそうだね。ほらさっさと行くよ」

 「えぇ・・・さっきまであんなに大げさに心配しとったのに・・・もっとわしのことを心配してもいいんじゃよ」

 「でも宇宙人さんのおかげで安全が確認できた訳だし、よかったじゃんか」

 「そういうモンなんかのぉ・・・」

 「ほらおいてっちゃうよ。早くワーリー兄さんやクーリーそれに部下さんを探さないと・・・」

 「はぁ・・・そうじゃな。さっさと探してこんな場所からでんと・・・」

宇宙人さんはもう一度コリル車に乗り、洞窟を奥に奥に音のする方に進んで行きました。

 「にしてもなんじゃこの場所は、気味が悪いのぉ。やけに広いし周りには壊れた採掘車みたいなのが転がっておるしなんなんじゃこの場所は?」

 「わからないよ・・でもここがオール山にある旧鉱山であることは間違いなさそうだね」

 「しかしこんな場所で爆発音か・・・一体なにがあるんじゃ?」

 「さっきからかなり進んでるのに全く近づいている気がしない・・・センサーもずっと70デシベル(音のうるささの値)を示したままだよ。向こうがこっちと同じスピードで引いてなきゃこんなことが起きるはずはないけど・・・そんなことできるのかなぁ」

 「ん〜。フクロウ一号と連絡はできそうか?」

 「それがこの大きな洞窟に入ってからバッテリー系統が全部動かないんだ。このコリル車は宇宙人さんの機械で電気が供給されてるから大丈夫だけど・・・このままじゃいつまで経ってもワーリー兄さんと会えないよ」

 「そもそも奴らはここにきておるのか?洞窟は何十年も前に崩落して塞がれてた訳じゃし・・・」

 「でもここしか来れる道はなかったんだ・・・何かこの洞窟は変な感じがする」

 「なんじゃそれ、フクロウの感か?」

 「だってさっきから変なことが続いてるじゃんか。近づけない爆発音もそうだし、ずっと前から放置されてそうな採掘車にトロッコ、ここは何かおかしいよ」

 「そうじゃな。あいつらの場所さえわかればええんじゃが・・・あ」

 「どうしたの宇宙人さん」

 「わしはいつでも部下の安全を確認できるようにやつにGPSをくっつけてある。それを確認すればあいつらがどこにいるかわかるはずじゃ」

 「それって部下さんをいつも監視してるってこと?」

 「違う、監視ではない。うやつの安全のためいつどこにいるかを確認しているだけじゃ。部下の安全を守るのは隊長の役目じゃからな」

 「まあなんでもいいや。とにかくそれ使ってみてよ」

 「わかったわかった・・・それでは、『ワシカラニゲラレーン』、起動」

 「なんてネーミングセンスなんだ・・・」

 「ん?なんじゃこれ・・・どうなっておるんじゃ」

 「え、なになに見せてよ・・・・え、これって・・・」

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