第22話

「時にロゼッタ様。この様なご質問は、大変貴女様に失礼だとは存じますが、の為にもお答え頂きたいのです…」


「……何でしょうか?」


 居住まいを正して、アディエルを見返す姿は、覚悟を決めていることがよく分かった。


「…伯爵様との間に、夜の営みはございますか?」


「ア、アディエルお義姉様っ!?」


 この質問にシルフィアが真っ赤になって挙動不審になった。


「……ございます。ランディ様は、毎夜わたくしの寝室に来られては、行為が終わるなり、部屋に戻られておいでです……」


 悔しそうな哀しそうな顔で答えるロゼッタに、アディエルは一つ頷いた。


「…ロゼッタ様。ランディ様が何をお考えなのか、知る方法があるとしたら、どうなさいますか?」


「アディエル様。そのような方法があると仰るのならば、どんな方法を用いてでも知りたいと存じます!ですが…誰かに迷惑をおかけするような事はその…」


 両手を祈るように握りしめ、そう答えつつもロゼッタは、懸念を口にした。


「そうですね。別段、迷惑をかける…という事にはならないと思いますわ。ただ、人目につかないように行動はしなければなりませんし、何よりシルフィア様は参加できませんよ?」


「はい。元よりシルフィア様にこれ以上ご迷惑をおかけしたくはございません!」


「そんな!アタクシにだって、がありますでしょっ!?」


 自分を外そうとするアディエルとロゼッタにシルフィアは非難の声を上げた。


「……場所が場所なのですわ。そうですね。シルフィア様が二妃様からお許しをいただければ、構いませんわよ♪」


 にっこり微笑んだアディエルは、シルフィアに条件を出した。


「『【月光花】を見に行きたい 』と、お伺いしてくださいませ」


 ウンウンと頷くシルフィアを横目に、アディエルはロゼッタを優しく見つめた。


「ロゼッタ・グリオール伯爵夫人。私、アディエル・ノクタールが、貴女の憂いを晴らすお手伝いを致しましょう」


 そうして、急ぎ戻ったシルフィアは、母の元へと急いだ。


「お母様っ!【月光花】を見に行きたいので、許可を下さいませっ!!」


 突然、部屋に飛び込んできた娘に、二妃エリアナは、にっこりと微笑んだ。


「あらぁ。シルフィアちゃんにあそこは、まだまだ早いわよぉ♪だからぁ、ダ、メ!」


「早いとはどういう意味ですのっ!?」


 ムスッと頬を膨らませたシルフィアは、納得できなかった。


「ならば、【月光花】とは何を意味してるか分かりまして?」


 膨らませた頬をつつきながら、尋ねる二妃に、シルフィアは言葉に詰まった。


「人に聞くのはダメよォ♡正解したら、行かせてあ、げ、る♡」


 しかし、シルフィアが答えを見つけることは出来なかったーーーー。




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